ある日

Mikoshi54

14 春

名を知る前からわかる

包まれることの あたたかさを

名を覚えてから知る

あたたかさゆえの 息苦しさを

それは湿度を帯びた 夏の息のよう

それはしかし 赤錆びた鉄で 打ち付けられた

冷ややかに刺す 楔


曝されて怯え

与えられては恐れ

求めては凍えた

最初の二文字 君の名前


閉じた門 その内側

揺れる梢 葉擦れが囁く

春風に舞う 歓声 嬌声

全て虚構 でも確かな現実


待つことしかできなかった

頼りない骨 青ざめた肌

燦々と降り注ぐ 柔らかな日差しが 


焼き尽くしてしまうのを

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ある日 Mikoshi54 @mikoshi54

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