お題「長い梅雨」―2句目―
土に梅雨 声蓄える 出れぬ蝉
【意味的解説】
我が季節になっても、土に梅雨の雨が降り注ぎ、外に出られない蝉たちは、声を蓄えるしかできないのだった。ああ、嫌だ嫌だ。
【構成的解説】
『土に梅雨』で、ドロドロした湿っぽい地面と、梅雨のジメジメしたイメージを与えます。
次に『声蓄える』として、ドロドロとジメジメに『声』と言う別なるイメージを投入します。さらに『蓄える』となっているので、その声がエネルギーのようなものとして、何かの内側に蓄えていくような感覚を加えます。
最後に『出れぬ蝉』と、その何かの張本人である主人公が登場します。蝉が出られないと言えば、土の中に棲む幼虫と容易に想像ができて、最初の『土』につながっていきます。ドロドロ・ジメジメなので出れない感覚です。
また、声を蓄えていえるのは、この蝉であると直感できるのでした。
つまり、ドロドロ・ジメジメに、声と言う響きを与えるものの、そのエネルギーは内側に向かい、梅雨のために地中から出て来れない蝉のもどかしさや窮屈さを思わせ、梅雨の長さを実感させる狙いです。
【創作の経緯】
林の公園で詠んだ1句目だけだと寂しいと思ったので、もう1句詠みました。
そう言えば、去年の今頃は蝉が鳴いていたと思い出し、梅雨と蝉を絡めました。
雨で湿った土はドロドロで、蝉が出てこれなくなってしまっていて、鳴くエネルギーを蓄えるしかできなくなっていると想像しました。
でも、『長』の文字を入れられなかったので間接的となって、長い梅雨というイメージが薄れてしまったかも知れません。
俳句。お題「長い梅雨」2句 亜逢 愛 @aaiai
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