関わるな放火されるぞ

電車の中の小さな悪魔

「うるさい、ふざけんな！！」

煩いのはお前だ。

休日の昼間の電車で、狂ったおっさんが車内で暴れていた。

車内は空いていて、立ち歩いているのは騒がしいおっさんだけだった。

おっさんは、携帯でおっさんの写真を撮っていたであろう女子高生二人組に目を付けてずかずかと歩いていく。

そのとき私の向かいに座っていた大学生くらいの二人組がおっさんと女子高生を見ていった。

「どうする？」

「関わんな、放火されるぞ」

先日発生した不幸な事件のことを言っているのだろうか。

私はイヤホンで聴いている音楽の音量を上げて、目を閉じた。