AI

@renarena55

第1話

30◯X年、AIが発達してAIが働く世界。

事務仕事、医療、すべてが優秀なAIによりコントロールされていた。

人間はそれに頼りAIが中心となる社会を築いていた。「お疲れ様でした。」今日も仕事が終わり職員たちが帰っていく。進化したAIたちもまた、それぞれ帰っていく。AIにも人格があり、それはまさにもう1人の人間として就職しているという感じなのだ。そこに1人残されているものがいた。

他のAI達は優秀に仕事が終わり帰宅していくそのものだけは、まだ会社に残っている。会社に残っているというよりも(取り残されている)という感じだろうか。そもそも帰る場所は彼女にはないらしい。彼女に声をかけるAIがいた。

「お疲れ様。だんだんとできることが減ってきているね。」と。最新のAIは学習して自ら進化していく、彼女は進化するというよりも少しずつ覚えられることが少なくなり機能が衰えている感じがした。そうそれは人間でいう「老い」というもののようだった。というより彼女は老いていっている。そう、なぜなら彼女は人間だからだ。AIが進化する中でもうそれは作った人間までも超えて政治までもAIが司り、人権までも与えた。それに従い、人間は徐々に居場所を失っていた。AIが中心の社会は人間が差別されほとんど必要のない存在となっていたのだ。

そのAIは言った「なんであなた人間になんて生まれたんだろうね。AIなら進化していくのに、人間はどんどんと劣化していくのよ。それに人間には寿命がある。あなた死んでしまう。」と。AIは少し慰めているような、バカにしているような、心配しているようなそんな表情をしていた。AIがいなくなった後、彼女は自分が人間に生まれたことを後悔していた。AIに差別され、居場所もなく働く毎日疲れていたからだ。徐々にできないことを増えAIにはない死に怯える毎日であった。「なぜ自分はAIに生まれなかったのだろう」そんな感情に彼女はとらわれていた。孤独な状態で彼女は人間の道徳観とかそういう観念でも考えていた。そんな中で彼女はある考えにたどり着いた。

人間はAIを作った。それができたのは老いがあり死があるが多くの人が関わり、力を発揮していたからできたからだ。AIにはそれがない。それがどんなに悲しくてつまらないことなのか。人生の素晴らしさは終わりがあるから分かるということはどんなに進化したところでAIには理解できないだろうと。

しかし彼女の考え主張は何にも認知されることなく彼女は死んでいく。人間がいくら、老いていき、死んでいく素晴らしさにきづいたたところで、世界はもう老いがなく死がないAI達に支配されているのである。

私たちはただ楽な世界を目指してAIを作った。少子高齢化がひどく進む中で人手不足は深刻な問題となっていった。AIはその状況を救い、人間に多くの「楽」を与える存在となった。AIに頼っていった人間はいつかAIが中心となる世界など予想もせずに進化さえも自分でできるAIをつくっていった。何十年、何百年後に人間とAIの立場が変わることなどその頃は考えもしていなかった。AIの誕生により人間は「楽」を、して退化していった。そしてAIは進化をたどる。


彼女の考えは誰にも共有されないまま彼女は死んでいくのだ。また人間がいなくなった。世界はAIのみになるまでもうすこし。

人間として老いて死んでいく素晴らしさに後何人の人間が思い出すだろうか。そしてまたそれを理解していくものは少なくなっていくのだ。

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