第8話 大切なのは開き直り
ようやく城に帰り着いた僕たちが挨拶に行くと、王様は気軽なちょっと散歩でもといった感じで、
「借金していた商人にお金を返してきてくれんか。いつもの三人で。」
と命じた。…王様の首元を締め上げてやりたい。そんなの家来の人に行ってもらってよ。
「いろいろと融通してもらって世話になったのだ。ソフィアが返しに行ったら名誉に思うだろう。なに、行って帰るのに一週間もかからんしな。スッキリしてから結婚式をしたほうがよかろう。景色のきれいなところだというし。」
まだ冬なんですけど。まあいいや。
「わかりました、行ってきます。」
◇◇◇◇
カエルだったアルバートを探すとき、絶対に見つけるという強い意志があった。アルバートが私の眠りの呪いを解いてくれたとき、私はアルバートを当然手に入れたと思っていた。当然なんて約束されていないのに。まわりが祝福していても一向に結婚の儀式にたどり着けない。それどころかうっかりしているとアルバートはどこかへ行ってしまいそうになっている。なぜだ。
結婚の儀式は身分や住む場所によって違うらしい。
そう、ならばこれから私の国では結婚の儀式は結婚する相手の住む所の窓から侵入し、受け入れられれば成立することにすればいい。
そうすれば私とアルバートはすでに結婚した間柄といえる。
「あーっはっはっは!運命よ、勝ったのは私だ。」
「楽しそうだね、ソフィア。何に勝ったって?」
「あ、いやその、突然何の用だ、アルバート。」
「ごめんね、ソフィア。僕がお金持ちの国の王子で、持参金付きで婿入りすればよかったのに。」
「大丈夫だよ。借金を返しに行くだけで、今回は簡単なお使いじゃないか。すぐ済むよ。」
◇◇◇◇
僕とソフィアが結ばれるにはきっとまだ永い時がかかるのだろう。
でも大丈夫、諦めなければいつかは結ばれる。ソフィアがカエルだった僕の呪いを解いてくれたように、僕はソフィアのそばにいれば運命がよそ見した隙にチャンスはあるだろう…。多分。
「姫様、アルバート様、あちらで夜会に出席するかもしれません。一式準備するのに数日お待ちください。私の注文していたドレスが、いえ、何でもありません。」
ロアン…自分の幸せを追求する姿勢が僕の重い気持ちを軽くしてくれるのを知っているのか。
こうして僕たちはまた旅に出ることになった。
おわり
呪われたカエル王子は姫君を絶っっ対にあきらめません!! 清泉 四季 @ackjm
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