扉を開けたら

けんはる

扉を開けたら

私は森に住んでいるエルフのミルア

いつも通り

薬草を摘みに扉を開けて出ると

私は女子高生になっていた

(またか)

私は自分自身を見て、溜め息をついた

どうやら、私の家の扉と体の持ち主の部屋の扉が繋がっており

同じタイミングで扉を開けた場合のみ

中身だけが入れ替わるらしい

まぁ、寝たら戻るので問題ないが

「みーちゃん、起きてるの?ごはんできてるわよ」

「今行く」

みーちゃんとは私のことで

名前は観流亜みるあ

偶然にも私の名前と一緒である

食卓についた私の元に

「はい、みーちゃんが大好きなフレンチトーストだよ♪」

そう言いながら私の前にフレンチトーストを置いた

かわいらしい女性は観流亜の母親だ

「うむ、ありがとう、ママ」

「いえいえ♪飲み物は何にする?」

「コーヒー」

「わかった、じゃあ入れてくるね♪」

母親は台所へ向かった

「それでは、いただきます」

いただきますは食事をする前の挨拶だから

ちゃんとするようにと言われている

私はフォークを持ち

一口食べた

(今日の料理も美味しい)

「はい、コーヒー」

「ありがとう、ママ、今日の料理も美味しい」

ママはニコッと笑うと

「そう、それは良かった♪」

私はコーヒーを一口飲み

(苦いがそれが癖になる味)

コーヒーはこちらに来て、飲んだときに衝撃を受けた飲み物だ

「ご馳走さまでした、それじゃあ、行ってくる」

「はい、行ってらっしゃい♪」

私が家を出てしばらく歩いていると

「観流亜、おはよう♪」

挨拶をしながら背中を叩いてきたショートカットの少女は

芹葉せりは、痛い」

ミルアは芹葉を軽く睨み

「ごめん、ごめん」

両手を合わせて謝ってきた

「謝るなら始めからしない」

芹葉は観流亜の大親友でさっぱりとした性格の少女

「そういえば、観流亜」

「何?芹葉」

「また、告白されたんでしょ?なんで断ったの?」

「興味がない」

「そうなの?」

「そう、それに芹葉といる方が楽しい」

芹葉はニカッと笑うと

「私も一緒だよ、学校まで走ろう」

芹葉はミルアの手を掴むと走り出した

「なんで走るの?」

「嬉しいから♪」

私の周りにはこんな少女が居なかったから

私自身も芹葉といると楽しい

教室についた私は自分の席につき

鞄から教科書などを取り出していると

「そういえば、観流亜」

「何?芹葉」

ちなみに芹葉は前の席だ

「宿題やってきた?」

「宿題?なんの?」

「数学の宿題だよ、やってきてる?」

(数学か)

ミルアは鞄の中から数学のノートを取り出し開くと

数式が並んでいた

ミルアは芹葉にノートを見せて

「これのこと?」

「そう、それ!!ところで観流亜にお願いがあるんだけど」

芹葉は両手をパンと合わせて

「宿題見せて」

「はぁ、早くしてね」

芹葉は観流亜からノートを受け取ると

前を向き、写し始めた

「部活忙しいの?」

「うん、大会が近いからね」

「ふーん、そうなの」

芹葉は陸上部のエースで有名な大会で何度も優勝している

芹葉は振り返り

「ノートありがとう♪観流亜」

ミルアは芹葉からノートを受け取り

「どういたしまして」

チャイムが鳴り、授業が始まった

-放課後-

「やっと終わった」

「芹葉は部活?」

「うん、大会が近いからね♪」

「そっか、それじゃあ部活頑張ってね」

「ありがとう♪観流亜」

ミルアは教室を後にした


「ただいま」

「おかえり♪みーちゃん」

「うん、ただいま、ママ」

ミルアは挨拶を済ませると観流亜の部屋へと戻った

ミルアは部屋に入ると

勉強机に近付き

一番上の引き出しから

一冊のノートを取り出し、書き始めた

このノートは今日あったことを観流亜に伝えるためのノートで

逆にこちらの常識等を教えてもらっている

書き終えると

「みーちゃん、お風呂入れてあるから、入りなさい」

(お風呂!)

ミルアが風呂場へと向かっていると

「みーちゃん、今日はバラの香りのバスボムだから」

「わかった」

脱衣場についたミルアは

服を脱ぎ、風呂場へと入った

「良い香り、まずは髪と体を洗わないと」

ミルアは髪を洗い始めた

(このシャンプーというものは持って帰れないのは残念)

髪を洗い流し、体を洗い始めた

体を洗い流すと

湯船へと入った

(気持ちいい、向こうの家にも風呂を作ったが、やっぱりこっちの風呂が良い)

ミルアはゆっくり温もった後

上がり、体を拭いた後

用意されていた下着と服に着替えて

ミルアの部屋へと向かった

「あっみーちゃん、気持ち良かった?」

「気持ち良かった」

「そう、もうそろそろ、ごはんできるから降りてきてね」

「わかった」

ミルアは部屋に戻ると

明日の授業の教科書を入れ換えたりしたあと

下へと降りた

「今日はシチューよ、どうぞ」

「いただきます」

ミルアはシチューを食べ始めた

(美味しい、向こうにはこんな料理がないな)

シチューを食べ終わったミルアは

「ごちそうさまでした」

「はい、おいしかった?」

「おいしかった」

「それは良かった」

ミルアは洗面所へと向かい

歯を磨いた後

部屋に戻り

ベッドに入り

目を瞑った


ミルアが目を開けると

「戻ってきたか」

いつもの自分の部屋に戻ってきた




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