これを言うと語弊がありますが、実に本物らしい作品でした。
ストーリー構成が秀逸ですね。仕事場視点とネット小説(作中作含む)で交差し、前者で起きたことがが後者に影響をもたらしていたりと。
起承転結がくっきりとしていた印象がありました。
主人公はとりあえず伸びるんですね。仕事場でも成功する。だけど、悪い方向へ転がっていって、取り返しのつかないような段階までやってきます。その分、クライマックスとラストは爽快感がありました。
こんなことって自分の身には絶対に降りかからないだろうなという、シチュエーションなんですね。バズったりフィーバーしたり。
だけど、その描写がリアルで、現実感がありました。時事ネタ流行を含んでいるところが、臨場感を醸し出しています。
それと、サクラは派手に目立つわけではありませんが、作中ではよい役割を担っていました。ヒロインしていたと感じます。
自分が考えた話を相手に聞かせてその相手をハッピーにする。
みんな普段やっている事で、今日何があったとか映画を見たとか自分というフィルターを通して経験を語る。これは大概面白く聞けるでもそれが一から作ったストーリーとなると格段にその難易度が上がる。
そう言った意味で全ての作家さんを含めエンターテインメントの世界にいる人に尊敬を禁じ得ないのだけれど、Kさんの書く文章は本当に凄い。
長くブログを書かれていた経験も勿論あるのだろうけど何より人を楽しませたいという気概がそこにある。
インターネットは時にとんでもない悪意に満ちて辟易するけれど、Kさんの書く文章に出会えたのはインターネット無くしてあり得ないと思うとやっぱりインターネット最高!と思います。
また多くの人に読まれてKさんの気概を少しでも受け継いだKさんチルドレン的な人たちが増えれば良いなとも思います。