真冬なのに~HENTAIS‘PROFILE~

 ※クソクダラナイ話しです。

  読み進める内に、謎の言葉が出て来ますが、決してググらないで下さい。



 ピロリンっ♪


 唐突に鳴った電子音はLINEの着信を告げる音。

 どうせ広告だろ、何時もそう思うんだけどさ、でももしかしたら3年前ぐらいにコンパしたあのロリツインテール青髪メガネっ娘が急に僕の魅力を理解しメッセージを送った可能性も否定できない。

 可能性はゼロじゃ無いからな。

 だからこの寒空の下、行き交う人々の殆どが襟を立てたりマフラーをしたりしているこの寒空の下、僕は手袋を脱いだ。

 この手袋、スマホ対応手袋じゃないんだよね。


「さっぶ」 


 震える手でスマホのロックを解除。

 メッセージの相手は去年の夏頃に勢いで入ったキャバクラで出逢った、Fカップのあの子、ではなくゴリ兄だった。


「んだよ、ゴリ兄か…」


 ゴリ兄こと合田祐介は二十歳の成人式の時に出逢った友達で僕の数少ない親友の一人だ。

 ちなみにゴリ兄のあだ名は、見た目がゴリラっぽかったり、名字の合田ごうだから取った訳では全く無く、ただ単にゴリッゴリの変態だから付いたあだ名だ。

 彼には誰も勝てないのだ。

 好きなプレイは『寒空に素肌+ロングコートでトビッコ挿入内股散歩』らしい。

 これなら一人で気兼ねなく出来るから良いらしい。

 本物の変態は言う事が違うな。

 あ、言い忘れていたが――――――男性だ。


 見た目は普通にさわやかイケメン。

 歯が無駄に白い。


 そんなゴリ兄と僕は二人共通の趣味があった。

 だからなのか、僕もゴリ兄もお互い結婚できていない。

 アラフィフ勢としてはぼちぼち金に物を言わせて東南アジア系の嫁さんを貰うぐらいしか希望が無いのが現実だ。

 未来に展望が無い僕達にはこの冬はキツイ。


「で、何々……?」


 ゴリ兄さんからのメッセージには一言「ちくにー」とだけ書かれていた。


「何だこりゃ?筑前煮の進化版か?」


 こういう時はグーグル先生に聞くのが一番だ。


「オッケーグーグル、ちくにー調べて」


 謎の言語ちくにーをグーグル先生はいとも簡単に調べてくれる。


『チクニーで悶絶!!』『300倍の快感』


 ずらずらと出てくるパワーワードに僕は打ち震えた。

 まさか「ちくにー」が下用語だったとは!

 それを臆面も無く普通に「オッケーグーグル、ちくにー調べて」とか言ってしまった。

 これはゴリ兄の巧妙な罠、と見せかけて………羞恥プレイか!


 『チクニー』なんて言葉そうそう知っている人は居ないはずなのだけど、この瞬間すれ違う人々が全てチクニストに見える。

 まるで皆の心の声が聞こえてきそうだ。

『やだ、あの子恥ずかしい、公衆の面前でチクニーだなんて』『ド変態よド変態』『おいおいおいおい』『ちくにー最高』


「やべー………はぁはぁはぁはぁっ…」


 昂ぶるぜ、俺の


 ちょっと内股になりつつ歩道の脇に逃げる様に移動し、そこで更に深くちくにーを調べる事にした。


 そして僕はちくにーの、その秘匿されてきた事実に驚愕した。


 まさか人にそんな可能性が在っただなんて。

 これは正に、男性の希望そのものじゃ無いか!!!


 ピロリンっ♪


 僕がちくにーの事実に打ち震えているのに忙しいというのに、一体どこのどいつだ。

 まったくけしからん。

 しかし昨年デリバリーで三週連続指名して仲良くなったFカップのロシナンテちゃんからのメッセージの可能性も否定できない。


「んだよ、ゴリ兄か……こ、これは!」


 ゴリ兄から送られてきたの一枚の写真だった。

 乳白色の半円型のそれは、まるで前世紀の映画に出て来たUFOの様だった。

 

 ピロリンっ♪


 続け様に送られてきた写真はハッカ油。


 そして最後にゴリ兄からのメッセージ添えられていた。

 特訓在るのみ!

 

 まさかの特訓モード強要か!


 久しぶりに部活動を行うというのかゴリ兄…。


 僕とゴリ兄は共通の趣味を持つ。

 しかしあまり大きな声では言えない趣味だ。

 よって二人のみで運営する秘密部活動を偶に行っている。

 まぁ、活動の内容がアレなもんで二人揃ってなんて事は無いんだけど。

 確かに見せあいっこと言う特殊なプレイもあったりするがそれは流石に異性と行う行為だと僕は思うわけで、はい。

 そんな僕等の秘密部活動の名前は『直発電秘密倶楽部』だ。

 自家を直に変えたのは少し世間体を気にした結果だとだけ言っておく。

 さっきのUFOはきっと部活動アイテムだ。

 ハッカ油を塗って使えと言う事だと推測する。

 基本こういう時僕達は言葉を多く交さない。

 僕等にあるのは人間の本能とも言うべき衝動、そこから生まれる行動のみななのだ。

 だから、結果だけ語れば良い。


「今日は仕事帰りにベース基地信長書店に寄って帰るか」


 結局僕等のベース基地信長書店にはUFOは無く後日ネット通販で買った。

 ちなみにハッカ油も。

 こういう時一人暮らしは強い。

 家族なんて言う楔は僕等には必要ないんだ。

 何も気にせず全てを解き放つのだ。


 そう、全てを―――――


(風の中のすばる~♪砂の中のぎんがぁぁ~~♪皆どこにいぃったぁ~)


 その日から僕は毎日毎日来る日も来る日も特訓と言う名の開発を行った。

 ハッカ油を患部に塗りたくり、UFOをセットする。


 ―――――最初は何も思わなかったんだ。

 特にそう昂ぶる事も無く、なんだ期待外れじゃんって思ってたんだ。

 だけどゴリ兄が言うからには何かある筈なんだ。

 この先に、きっと見たことも無い未来がある筈なんだ。

 僕はそう信じて毎夜毎夜特訓を続けたんだ。


(つ~ばぁめよ~♪高い空かぁらぁ~♫おしえてよぉ~~地上の星~~♫)


 ―――――ある日、それは訪れたんだ。

 そう言うならば『壁』を突破した。

 生まれ変わった様な喜び、快感に打ち震え僕は吠えた。


「ぉぉぉぉおおおおおおおお!!!!」


 ドンドンドン!


「ちょっとうるさいよ」


 ※近所迷惑に為らない様に気を付けましょう。


「コレが300倍の力!!!正に覚醒!!」 


 そんな時だった。


 ピロリンッ♪


 ったく良い時に限ってLINEが鳴る。

 でも、もしかしたら幼馴染みの明日香ちゃんと昔約束した『大きくなったらヒロ君のお嫁さんになってあげるね』って言うを約束を(ry。


「やっぱりゴリ兄か…」


 送られてきた一枚の写真は、高層ビルの屋上でロングコートを開け、両胸にUFOを貼付け西川貴教バリに風に吹かれてるぶっ飛んだ格好のゴリ兄だった。


「真冬なのに………」

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矮小なる偏見からなる黄金ばっどの短編集 黄金ばっど @ougonbad

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