2日目

 何度観たか思い出せないアニメの音声だけが響く部屋で、慣れないアルコールを飲んでみる事にした。

 昼間は外に出れないが、日付けが変わるあたりに外出するのはちょっと好きだ。誰にも負けてはいない気がする。


 酔い潰れる学生共を通り抜け、アルコールをビニール袋の中に潜ませ歩いているのは痛快だ。


 あいつらが飲むアレよりもテキーラに近い飲み物をこれから呑んでやる。飲むんじゃない。呑むんだ。


 若干の味への期待を抱えながらプシュっと音を鳴らすと、対角線上のヤツはチラリと一瞬だけコチラを覗いた。

 

忌々しい。

 

 気にせず一気に甘ったるい消毒液を喉に流し込む。

 アイツは僕が呑む度に「ん、ん」とボソボソ呟き、かと言ってその声に振り向くとコッチを見つめてだんまりを決め込む。


 ムカつく。


 僕はやっぱり、全くと言っていいほどメロンソーダの味のしないそれを流しに捨てて、布団に潜り込んだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る