第19話その後の2人

それぞれに挨拶を交わし、公表をしてから1年が経った。


「それじゃぁ…行こうか?」

「あの…今まで本当にありがとう…」

「何言ってんのよ、まだまだこれから先だってたっくさん会えるんだから…」

「そうだな、一生会えないって訳でもないし。」


そう言いながら美羽は両親と一緒にとある場所に向かおうとしていた。そう、今日は秋人との結婚式の当日だった。父親の運転する車に乗り込み、式場に向かっていく。そう遠くもない場所を選んでいた為、そして緊張しているからか、異様にこの移動時間が早くに感じた。式場に着くと美羽は両親と一旦離れてブライズルームへと向かう…ここで支度をし、準備を整える…


コンコン…


不意にノックが聞こえた。返事をすると入ってきたのは宮村だった。


「お…いいな。」

「匠さん…何で入ってくるんですか?」

「あんまり話せないだろうし、緊張してるかと思ってな?」

「まぁ…それもそうですけど…」


クスクスと笑いながらも美羽は少し緊張がほぐれたように感じた。その後に母がやってくる…あまり言葉は交わさないものの、もうすでに泣きそうになっている母に美羽の方は涙が消えてくるのを感じた。穏やかになり、心も落ち着いてくる。最終リハーサルを済ませて再度部屋に戻ってくる。嬉しくもあり、少しさみしさもある中、美羽はゆっくりと瞼を閉じた。


そうして式の時間がやってくる。母親にベールダウンをしてもらい、にこりと笑うと父親と再度腕を組みバージンロードを歩く。

秋人の手に美羽の手が重なる…引渡が済んで、父が離れ、2人はゲストに向かってこれからも変わらない愛を誓い合った。


披露宴に至っても、本当にシンプルなものにしていた。仲間内だけの、しかしながら、とても温かい空間になっていた。そうして色々と余興等もないものの楽しい時間となった。


長い様で短いパーティーもすべて終わったあと、二人揃って同じ家に帰っていく。


「ねぇ秋人…」

「ん?」

「これからはずっと、宜しくお願いします。長い時間になるけど…」

「そうだな…これから後どのくらいだろうなぁ…」

「解んないけど…」

「こちらこそ…よろしくな?美羽…」


そうして小さくもやさしいキスを交わした2人…これからの何10年と言う月日の間、共に生活をする中で、小さくて大きな宝物に気付くのはもう少し先の近い未来…


マッテテネ…


その声が指す方が後どのくらいで出会えるのか。どの位で2人が気付くのか…


これはまた次の機会にでも…お話しいたしましょうか…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

常に君は僕のモノ~イケメン狼にご注意を!~ 桜 みやび @miyabi-sakura

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ