[魔女になるまであと8日]あくまでも普通に接するんだね
告白もあんな表情で断って、見送りにも来なかったのに。
なによ、普通に「よ。」って。
こっちが高校3年間で吹っ切れたとでも思っているのだろうか。
何度も何度もあの時の奏太の顔を思い出す。
そして思い出すたびに嫌悪感が募っていくのだ。
もう奏太のことは好きでも何でもないのかもしれない。
むしろ胸いっぱいに込み上げてくるのは嫌悪感だけだ。
私は何も言えずに奏太の顔を見ていた。
「なんだよー。久々に会ったのによ。そんなにかっこよくなったか?まあ、一週間こっちにいる間はいつでも俺の顔見れるんだからさ、とりあえず行こうぜ。ばあちゃん待ってっから。」
奏太は片手に私の手から取ったキャリーバッグを持ち、もう片方の手で私の手を引き、ものすごいスピードで歩き出した。
「ちょっと待って。最後に会った時こんな感じじゃなかったじゃん。気を使ってるんだったらやめて。別に遊ぶために帰ってきてるわけじゃないから。」
「最後?俺らに最後なんかねえけどな。だってお前、魔女になるんだろ。だったら魔法で不死身にでもなんでもなれるだろ。まあ、人間最後の一週間、全力で楽しもうぜ。」
告白を無かったことにされて戸惑う私をよそに奏太はずんずん進んでいく。
あ、と突然立ち止まったかと思ったら振り返った。
「魔法でも不死身にはなれなかったわ。命だけは操作できねえもんな。」
ははは、と笑うが不謹慎にもほどがある。
そう思って足元ばかりみていたらいつのまにかおばあちゃんの家に着いていた。
魔法が使える悲しさ 滝川ゆうあ @yuataki124
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