エピローグ
「結局、二人はどうなったんですか?」
「今も仲良くしていますよ。お互い、ご両親への挨拶も済んでいるようですし」
なぜか手を繋いで仲良く歩いている二人の姿を想像して、里庄は笑ってしまった。そして、ふと疑問に思っていたことを口にする。
「
綴は少し考えを巡らせているようだった。黒髪がさらりと目にかかる。
「私見ですが、真面目すぎたんでしょう。大切な人を守るべきなのに、守れなかった。仕方がなかったとはいえ、それで割り切れるほど強くもなかった。自分に罪を課すことで、うまく自分を保っていたんだと思います。私は、それを否定しません。そういうことってあると思うんです。それで生きて、そして、いつかその罪から解放されることができたなら、それはそれで、いいと思います」
綴が里庄の方を見た。その瞬間、なぜか里庄は、綴もまた、苦悩しながら生きてきた人間なのだということを直感した。
「上道先生、また、続きをよろしくお願いしますね」
「ええ。次は五月ですね。私も、少し話をまとめてくることにします」
ふふ、と綴が微笑んだ。窓の外を、桜の花びらがひらひらと落ちていった。
海辺の図書館① 播磨光海 @mitsumi-h
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