ヲタクのお宅の隣にヲタク。ヲタクのアイデンティティを巡る連作。※追記
- ★★ Very Good!!
※作品は絶対評価したいので星は適当です。
※六章三話まで読んだ感想です。
※追記 最後まで読んだ感想です。
大きな事件も、ひっくり返るようなドラマもない。穏やかな筆致で描かれる、この世界のどこかで息をしていそうな、ちょっと変なとこもあるエリートヲタクたちの物語です。
ここでイカれたメンバーを紹介するぜ(個人の感想と偏見です)。
東野創一郎―――25歳のサラリーマン。引いてよし守ってよし(攻撃性能は無い)のオールラウンド草食系男子。お隣の女子大生、有名コスプレ格ゲーマー、音ゲーマー声優、お向かいの変態と、多くの女性と知り合う自称毒男。('A`)テメコラチョットソコセイザシロヤ
あと、理系のサガなのかちょくちょくモノローグが辛辣。オタサーの姫への罵倒は個人的な語り草。
蒼井希望―――希望と書いてのぞみと読む、圧倒的陽で生きる者のオーラを感じながら日陰者のヲタク道を歩むメンタルタフガイ。25で早くも枯れ気味な東野くんとはいえ、男を一人暮らしの家に上げても動じないノーガードスタイルを貫く。あと、けっこう突然興奮し出す。
平和島愛徒―――コミケを始めとするイベントの運営ボランティア多数こなすプロのヲタク。そして筋肉。筋肉の有用性を証明すべくヲタクになったのかと思いきや、ヲタクでいるために筋肉にその身を捧げたエリート筋肉。あれ?
灰谷夏織―――女子格ゲーマーでコスプレイヤーで生主と、変な男ホイホイ三拍子を有して日夜戦う休学中のエリートニート。東野くんの師匠。
林原天音―――声優として活動するボクっ子音ゲーマー。すべてを芸の肥やしにしようとする意識の高さで、「ボーっと生きてんじゃねぇよ!」と引っぱたかれた気分になった。東野くんにはっきりフラグを立てている。('A`)……。
相馬絵美―――変態。この人と絡んで、希望のボキャブラリーが爆発した。
作品も終盤です。完結したら、またお会いしましょう。
※追記
最後まで、大きな事件は起こらない。代わりに、東野くんと希望の『これまでの人生』が細かく嫌らしく立ちはだかりました。そして、『これからの人生』が輝きだす予感を持たせて、完結しました。
現実を埋めるのはいつだって夢中な空想です。その権化たるヲタク趣味が彼らを繋いだ。ロマンチックな話じゃあないですか。