エリートヲタク!
伊瀬右京
プロローグ
「何これ……アニメ?」
灯りを消した部屋の中をテレビの光が照らしている。
昼間は授業、夕方は部活、夜は塾、普通の中学生達がしている標準的なことを全てこなし、あとは眠るだけだった。
しかし寝付けないから気分転換に、部屋の小さいテレビを点けた。
すると画面には意外な番組が映った。
美麗な背景の前で、実際の人間よりも目が大きいキャラクターが動き回り特徴のある声で喋っている、アニメの番組だ。
いわゆる、深夜アニメというやつだろうか?
詳しい友達も学校のクラスにはいないし、タイトルもわからない。それに今は五月末ということもあって、物語が進んでいて展開がよくわからない。
ただそれでも、不思議と惹かれる何かがあった。
夕方に放送されるアニメには無い繊細な絵が次々と流れていき、キャラクターが子供騙しではなくかっこいい長台詞を語り、見たことがない演出がそれらの雰囲気を際立たせている。
眼球と鼓膜に飛び込んでくる大量の情報が全身を揺さぶり、自分を現実から別世界へと誘っていく。
単なるアニメの番組なのに、これほどの衝撃を受けたことが信じられなかった。
それが俺にとっての原体験だ。
しかし、そんな浮遊感があった体験が懐かしくて、
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