行間を読む、という言葉がある。この物語は。行間を、読ませる。随分昔に忘れていた、しかし心の奥底にたゆたうような情景が、言葉の外に見え隠れするような、そんな物語。ゆったりと、しんみりと。自らに語りたくなってしまう。そんな物語である。