第5話 太一、登場。
光のカーテン。中にいるのは、太一だ。光が消えると、皆が一斉に驚いた。まりえのより数段高価そうな装備品を身に付けている。伝説の勇者と呼ぶに相応しい格好をしているのだ。
「たっ、太一くん……。」
「……その格好って!」
「伝説の……。」
「……勇者様!」
「すっごーい!」
「マスターが、ヒーロー!」
「ま、何をどうすればそんな格好をさせてもらえるのか、聞くのが楽しみっしょ」
7人共、興奮を隠せない。まことは吐きたいだけ悪態を吐くし、まりえは鉄の剣をブンブン振り回す。しいかだって負けてはいない。反抗したいだけ反抗していた。そんな中、落ち着きを取り戻した優姫が太一に話しかける。
「マスターは、テストではどのような解答をなさったのです?」
「並んだの? アイドルさんの横に並んだの!」
まりえはまだ興奮している。太一が自分と同じ勇者なのが、余程嬉しいのだ。
「並んだよ。でも、アイドルさんの横じゃないよ!」
太一は平然と応える。
「じゃあ、一体どこへ……。はっ、まさか……!」
あおいは、言いかけて何かに気付いた。その先を言おうとしたが、戸惑い、言わずにいた。代わりに言ったのが、優姫だった。
「もしかすると、マスターは、おっさんのうしろに並んだのですか?」
「うん。随分と待たされちゃったよ。けど、写真も撮ったんだ!」
そう言って、鎧の中にある便利そうなポケットから1枚のインスタント写真を取り出す。そこには、外れたフックの部分からババ色のブラジャーを露出したアイドルさんと、全開になったズボンのチャックから、インしたシャツをはみ出させた太一が写っていた。
「……。」
一同、呆気にとられる中、太一だけが興奮し、伝説の剣をブヲンブヲンブヲンと振り回した。兎にも角にも8人全員が異世界テストに合格し、無事異世界に辿り着いた。太一達御一行による、異世界冒険譚のはじまりである。
異世界テスト 世界三大〇〇 @yuutakunn0031
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