この作者さんの他作品にひかれまして、本作品にたどり着いた次第です。
「異世界転生」というジャンルでは区切られた物語ではありましたが、本作品は転生した事実にはそれほど焦点が当てられていないと感じられました。
タイトルにも記されているように、この物語は、主人公(転生者)が古き魔王の時代、正義の勇者が魔王に苦心しながらも最後の最後で打ち勝つような、そんなアツく美しい物語を作り出すために魔王として世界に君臨するお話です。
主人公は「悪」を目指し、それを体現していきますが、その「悪」の中でも他者に対する、認めめられぬ「悪」が描かれています。
非道な殺生をせず、自分の信念を貫く魔王の姿、その魔王の姿に惚れ共についてゆくようになる仲間たち。コメディな部分もあり、そして芯はきちんと通るこの物語に惹かれました。
死にゆくものに慈しみの心が表れている部分に、ぜひこれからこの物語を読む皆さんに着目してほしいと思います。
現在更新されている最新話まで読まさせていただきましたが、とっても満足です。楽しい物語をありがとうございました。
これからも楽しみにしています。是非頑張ってください。
書籍化決定お聞きしました。おめでとうございます。
圧倒する力で魔王なのに悪党を次々と倒していく。
なかでも、仲間か゛傷つけられた時の戦いは、恐怖の象徴としての魔王の鮮烈さをみせつける。
また、悪党に利用されてしまった魔物にさえ、殺さねばならないことに憐れみをみせる優しい魔王。
そして、その中身クロノは、じつは社会ルールをたっとび、ちいさな失敗にもショックする真っ当な男。
その格差が、コミカルで物語の息抜き、ほっとする部分でもあると思う。 登場人物達の、姿も目を離せない。
守りきれない己の不甲斐なさ、悲しみ葛藤を重ねながらも、確実に勇者としてのハクトの成長する姿も見逃せない。
そして、セレスティア。超略に機敏ですべてを見通す聖女。
しかし、クロノが自分を中心に想いを寄せていると思い込み、心酔しきっている。すべては見通すが、自分は見えない所が、ギャップでありクロノとのおもいの対比が可笑しい。
魔王といいながらも、まるで会社の社長さんの様に金策に、米を売り刀を売りバイトをする。
けして魔王としての圧力をつかっての金儲けをしない所が可笑しい。
他の登場人物も、一人一人丁寧に人物描写されていて、つい感情移入してしまう。
先々の物語の展開が毎回楽しみで待ち遠しい。