二章 言葉のセカイ
はあ…。
本日何度目かのため息をつき、道を歩く。
「なんかもうこの世界嫌いだなー。」
そう呟きながら歩いているのは、家へと帰る道。
この世界は理不尽なのだ、私も含めて。
「生きる意味って、何だろう…。」
前を向いて歩けるほど、私のメンタルは強くない。
下を向いて歩く。車のエンジン音が近くで聞こえる。
「もう諦めようかな…。」
そう呟いた瞬間、私は強い衝撃を体に受けた。
状況を確認しようとも、地面に叩きつけられ、意識が朦朧としていて出来ない。周りからは騒然とする人々の声が聞こえる。何処かから、私の名前を呼ぶ声が聞こえる。でも、誰なのか思い出せない。
私の現世での最後の記憶は、何事もなかったように走り去るトラックと、慌てふためく人々の悲鳴、そして、親友だった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
気づけば、そこは大きな広間だった。しかし、そこには本が積み重なって出来た、まるで「本の木」のようなものがたくさんあった。「本の木」が集まり、迷路のようになっている景色は、何処か幻想的だった。
「本の木」を眺めていると、甘い香りが鼻を掠めた。香りの方向を向くと、「優」「愛」「心」と言った文字でできた胡蝶とユリの花があった。胡蝶は私に近づくと、ひらひらと私の周りを飛び回る。
「綺麗……」
私が胡蝶に見惚れていた時だった。
「グガァァァァアアアア!!」
「!?」
私はその混沌に満ちた唸り声の方向へと向く。
そこにいたのは、化け物だった。「憎悪」「偽り」「殺戮」………。そんな言葉でできている。その姿は、まるで私が今までいた世界の負の感情を全て合わせたような姿だった。
言葉を探して 猫化楽黒猫 @Brack_cat
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