言葉を探して

猫化楽黒猫

一章 グダグダなテスト

 あーあ。

 そう私は呟いた。

「ねえ、夜ちゃん、どうしたの?」

 はぁ。なんか考えるのもめんどくさい。

「夜猫ちゃん・・・?」

 あーもう嫌だ。もう嫌だ。

「やーみーざーきーよーるーねーこーちゃーん!!」

 バシッ

「痛っ!ちょ、ちょっと。私が起きないからって背中強打はやめて!ね!」

 私はさっきから散々私の名前を呼び、挙句の果てに背中を強烈に叩いた親友をジト目で見つめる。

「やった~!夜ちゃん起きた~!」

 そう無邪気に喜ぶ親友の名前は神田 遥。私、闇咲夜猫やみざきよるねこと同じ中学一年生だ。

「遥・・・。今私かなり落ち込んでるんだけど・・・。」

 すると親友はニコッと笑って言う。

「うん、知ってるよ!だって、数学の定期テストが、30点だったんだもんね!」

 グサッ。あの、思いっきり心に刺さってるんですが・・・。

 私は数学は得意な方だった。今回のテストも余裕で問題を解いていた。しかし、残り時間が1分の時に、解答欄と解答が全て一つずれていることに気づいたのだ。急いで直そうとしたが、時すでに遅し。30点分しか直すことが出来なかったのだ。

 私達がそんな会話をしている教室では、沢山の生徒たちがテストの点数を教え合ったり、高得点を自慢していたりする。幸い、私達には誰も気を留めていないようだ。

「それよりも・・・夜ちゃん、お母さんにはどう伝えるの?絶対、夜ちゃんのお母さん、カンカンに怒るよね・・・。」

 考えたくもない事を思い出してしまった。

 私は、自分の母親が、言葉が悪いかもしれないが、「狂っている」と思う。なぜかと言うと、些細な事でも、いきなり怒り、暴言を吐くのだ。そんな母親にテストの点数を伝えたら、ただでは済まない。

「もうどうしようもないから諦めるよ。遥、ありがと・・・。」

 私はただ、そう言うしかなかった。

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