最終話 ヒトノスムマチ

「いってきまーす。」

「お気をつけて、ショー吉くんにも御飯を差し上げましょう」


【美禄へ

また家を留守にする。まぁもう僕は殆ど親が出来ていないけど。暫くは街に残るけど、やるべき事があってね。近いうちにまた顔を出してくれたら助かるよ、新しい博物館に。展示物はまだ少ないけど、動く恐竜が見れるよ。大迫力のティラノサウルスをね。学校はちゃんと行っているかい?

皆んないい子とは行かないと思うけど頑張ってね。あと言い忘れてたけど、夏と冬にある体育祭には出席しなくていいよ。積極的に休んでいこう。最後に妻鹿似くん、娘をいつも有難う。君は最早あの子の親だ、こんなことを言うと父親を放棄したみたいだね。御免

でも君には感謝している。これからも娘を宜しく。 狂三郎】


「これを某が読むのは違和感を感じますが、仕方ありませんね。美禄さんが頑なに読まないといって聞きませんからね」

人の住む、ツクモノの街カナモノ町。

一人住人が変わろうが、何も変わりは無い。逃亡犯は隠れるように逃げ続け警官はそれを追いかけ、神にならざるモノは現在を非難し未来を語る。逆も然りだ。住むモノは癖があろうと日常だ。人もモノも...

「私は買い物にでも参りましょうか」

そして大きな緑屋根の家に住まう人間の娘は今日も学校に行く。

「皆んなおは..」

「そこ、火を吹くな!首を延ばすな!

ギャルは今日も欠席か!

..人間、お前だけだなマトモな奴は」

「私..早退します。」「何っ!?」

彼女は未だにこの街に慣れていない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

TUKUMOGAMIーツクモガミー アリエッティ @56513

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ