待つ者、名を魔王といった
Wkumo
地球にて
幸せになるためには君が必要だったが……まあいい。僕は僕で好きにやらせてもらうさ。地球(テラ)という名のこの星でな。
◆
おお、君よ。戻ってきてくれたのか。……待ちわびたぞ。
長かった。……長かったぞ。生命が生まれ、滅び、進化する……悠久の時を僕(われ)は待った。自我が磨り減り変わり果て、別のものになってしまうまで。
だがそれも終わった!
君さえいればこの計画は完成する。……多少予定が狂ったが構わん。たかが40億の年月など、計画が完遂されることと比べれば。
さあ、そのサークルに入れ。君と僕(われ)がそこに入って式が起動すれば始まる。
わかっているだろう。君なくして幸せは手に入らない。君と僕(われ)、そしてこの世界全ての生命の幸せが、君のその行動一つにかかっているのだよ。
どうした。今さらやめるなどとは言うまい? せっかく戻ってきてくれたのだ、何か考えあってのことだろう?
それとも我をここで滅ぼすとでも?
……そうだ。それでいい。君ならその選択をしてくれると思っていた。
いずれにせよ、我と君はここで永遠に二人きり、再び悠久の時を過ごす。
世界が終わるまで。
視界が霞む。君もそうだろう。感覚を共有しているのだから、そのはずだ。
そうだ、礼を言い忘れていた。
ありがとう。
君が友達でいてくれて、よかった。
待つ者、名を魔王といった Wkumo @Wkumo
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