Poaching

sadistic solid sun

ловушка

 APU作動。

 APUより圧縮空気がダクトを通り、ニューマチック・スターターへ。


 N2-ROTATION


 高圧コンプレッサー回転。


 N1-ROTATION


 低圧コンプレッサー回転。

 ファンが外気を吸入、多くをバイパス流とし、残りをコンプレッサーへ。

 ローステージで圧縮後、ハイステージで圧縮。

 パイロット、フューエル・コントロール・スイッチをRUNへ。

 燃料がセンタータンクよりブースタポンプで圧送、燃料ポンプにより輸送。燃料・オイル熱交換器で燃料を温めエンジンオイル冷却、フィルター、燃料計量ユニット通過。高圧弁開、燃料ノズルより噴射。

 サーフェスディスチャージプラグ周囲空気をイオン化、放電。


 エンジン-Ignition


 アニュラ型燃焼室で混合気が爆発。温度、圧力上昇。

 排気がタービンを回転。軸出力をコンプレッサー及びファンに伝達。

 ノズルから排気を噴射、バイパス流と合流。

 機体が推進ベクトルを得る。

 No4からNo1エンジンまで始動。


 APU停止。

 パーキング・ブレーキ-OFF


「スーパーアイ、こちら管制塔。離陸にはランウェイR33を使用せよ」

「管制塔、こちらスーパーアイ。離陸にはランウェイR33を使用する」


 フラップレバーを20へ。圧縮空気によりエア・モーター作動。


 スラット-EXTEND

 クルーガーフラップ-DOWN


 EDPで作動油を輸送。セレクタ・バルブが流路をフラップへ。アクチュエーター作動。作動油リターン。


 トリプル・スロテッド・フラップ-DOWN


 AWACSスーパーアイパイロット、スラストレバーを押し込む。ステアリング・ハンドルを回し機体を移動。

 滑走路へタキシング。

 パイロットがラダーペダルを踏みブレーキを作動させる。

 一度完全停止。

 スラストレバーを出力50%まで倒す。エンジンが安定しているのを確認。


 パーキング・ブレーキ-OFF

 ブレーキ・圧力リリーフ・バルブ開放。


 機体が前進を始める。

 パイロット、TO/GAスイッチをON。オートスロットル。

 エンジン回転数上昇。

 ファン、低圧圧縮機約2000回転。

 高圧圧縮機約9000回転。

 AWACS スーパーアイ、離陸滑走開始。

 流体、気体のレイノルズ数が臨界レイノルズに変化。層流が乱流へと変化。

 クッタ条件達成。

 出発渦発生。

 束縛渦発生。

 揚力、抗力発生。

 スラットに衝突し翼下面方向に行った気流が翼上面へと誘導される。

 クルーガ・フラップ、トリプル・スロテッド・フラップによりキャンバ増大。揚力増大。

 滑走まもなく発生した翼端渦をウィングレットが阻害、誘導抗力を軽減する。


 速度-V1


「V1」


 速度-VR


「Rotation」


 パイロットがコントロール・スティックを手前に引く。

 エレベーターが6000psiの力で駆動。上を向く。

 ピッチアップ。

 機体が浮き上がる。

 ランディング・ギアが地面から離れる。

 ショック・ストラットが伸びきりセンタリング・カムが噛み合うと、前脚タイヤが正面を向く。


 速度-V2


「Positive Climb」


 パイロット、脚操作レバーを上へ。


 LANDING GEAR-UP


 作動油がギア・アクチュータへ流れギアアップ。シークエンス・バルブにより流路変更。

 ドア・アクチュータが収縮、ドアクローズ。

 ロック・アクチュータによりドアロック。

 ランディング・ギアを収納した機体が上昇を続ける。


 出力-上昇推力


 パイロットがフラップレバーをUPまで押し込む。

 スラット、フラップを収納。

 巡航高度まで上昇。

 高度約11000m

 外気温約-50℃

 外気圧約0.25気圧

 機内気圧0.85気圧、機内温度25℃で固定。

 ECS、機内温度及び気圧調整のため、


 FAMV開

 HPSOV開

 PRSOV開


 ブリード・エアを熱交換し、機内空調で流す。アフトフローバルブが開き機内気圧調整。

 アイスディテクター、着氷を感知。

 anti ice作動。


 CAIV開

 WAIV開


 カウル及びスラットに高温のブリード・エアが流れ込み、着氷を防止。


《オーバーロード、こちらスーパーアイ。予定ルート上を航行中。いつでもどうぞ》

《十分後にキトゥンが出る。航行を続けろ》

《スーパーアイ、了解》


 AWACS SUPER EYE - cruise




 ブリーフィングルームのディスプレイを、フライトスーツを着たパイロット達が眺めている。ディスプレイにはV尾翼と六角形に近い変形デルタ翼をもち、鋭角的だが滑らかなボディの大型ステルス戦闘機が表示させている。


「以上が今回の目標、F-30 Hummingbirdの情報だ。はっきり言うとわかっていない事が多い。だが、おそらくAs-61と同程度の性能だ」


 出撃前ブリーフィングで指揮官がそう言う。それを聞いた一部パイロットが自国の情報収集能力の弱さに苛立ちを覚えたが、顔には出さない。


「再三言っているが、今回はまず無人機部隊が敵の長距離ミサイル引き付け、ミサイル誘導レーダー波から敵の位置を逆算、お前達が叩く。敵は同格と考えてられるが未知部分も多い、気を引き締めて行け」


 パイロット達が了解と答えた。

 ブリーフィングが終了するとパイロットがハンガーに移動する。


「今回の作戦、どう思います? かなり離れ技ですが」


 キトゥン6が1に問う。


「めちゃくちゃだが、仕掛けるのは俺達だ。行けるさ」


 1が6の肩を叩く。キトゥン6の緊張が少しやわらぎ、わずかに口角が上がった。

 パイロット達がAs-61に乗り込む。プリフライトチェック。

 右手側のテストパネルを操作し自動診断を開始させる。

 ディスプレイの表示が切り替わり、各モードが正常に作動するかを確認。パイロットがスティックとスロットルのスイッチを押していく。

 機体に異常が無いことを確認。

 エンジンスタートスイッチをオートへ。

 スターター作動、エンジンスタート。


 パーキングブレーキ-OFF


 キトゥンチーム、滑走路へ。


 出力-アフターバーナー ゾーン1 


 キトゥン1滑走を開始。

 パイロットがスティックを手前に引くとセンサーが感知し、フライトコントロールシステムがエレベーターを稼働。パイロットに人口感覚を返す。

 キトゥン1から6までが順次離陸、上空で編隊を組む。


《キトゥンチーム、こちらスーパーアイ。オートパイロットで巡航せよ》

《キトゥン1、了解》

《こちらパペットマスター。パペットチームは予定ルート上を巡航中、蜂鳥をあぶり出す》


 パペットマスターがキトゥンチームの遥か前方を飛ぶ、有人機を改造した無人戦闘機部隊パペットチームの航路を調整する。

 誰もいないキャノピーを煌めかせる六機の無人機がバンク25度定常旋回。キトゥンチームはラダーを右に、機首方向を数度変える。

 キトゥンチーム、パペットチームM0.7で巡航。


「これ、いつ来るのですか?」

「キトゥン3、そのうち来る」


 キトゥン1が素っ気なく言い渡す。


「了解」


《各機、こちらパペットマスター。パペットチームに対するレーダー波照射を確認》


 スーパーアイのレーダーがミサイルを探知、情報をパペットマスターへと送る。


《キトゥンチーム。敵機は方位30、距離420km、高度8000m》


 パペットマスターがキトゥンチームに敵機予想座標を転送。

 キトゥンチームのパイロットが兵装選択スイッチを押し込み、長距離ミサイルを選択。


 RDY R-40 - 2


 目標選択。

 リリーフスイッチを押し込む。ウェポンベイが開き、二発の長距離ミサイルを放つ。

 ミサイルが慣性誘導で敵機予想地点に飛翔する。

 敵ミサイルがパペットチームに接近、パペットマスターが遠隔で回避行動をとらせる。

 散開した無人のパペットチームに敵ミサイルが迫る。

 直撃。パペットチーム反応消失。


《各機、こちらパペットマスター。パペットチーム反応消失》


 キトゥンの放ったミサイルが敵機に接近するとIRシーカー作動。


「キトゥン1。命中0」

「キトゥン2。命中0」

「キトゥン3。命中0」


《キトゥンチーム、こちらスーパーアイ。プランBだ。ドッグファイトを仕掛けろ》

《各機、こちらパペットマスター。プランBへの変更を確認、当該戦域から離脱する。キトゥンチームに神のご加護があらんことを》


 パペットマスターが左旋回。キトゥンチームは高度を上げて超音速巡航。

 しばらく洋上を巡航していたが、キトゥン3のミサイル警告装置が作動。


「こちらキトゥン3、狙われた」

「キトゥン3、回避しろ」


 キトゥン1が通信ボタンから指を離すとブレーク。キトゥン2,4,5,6もそれに続く。

 キトゥン3はフレアを撒いて左90度バンクで急速旋回するが、その動きにあわせて敵ミサイルが急激に方向を変える。

 敵ミサイル弾頭部が炸裂、フレシェット弾が尾翼を吹き飛ばし、ミサイル本体が爆発。キトゥン3をパイロットごと吹き飛ばす。

 ミサイルを放った敵機は上昇、その僚機は浅いバンク角でキトゥンに接近。


「キトゥン1、こちらキトゥン6。私が囮になります」

「了解」


 キトゥン1,6は接近する敵機に狙いを定める。

 残りが敵四機へと機首を向ける。 

 キトゥン6が敵一機に急降下、ミサイルを放つ。敵機はフレアを撒くと上昇。

 二機が交差する。

 一気に位置エネルギーを運動エネルギーに変換したキトゥン6がスティックを引き、エレベータを稼働。機首上げ、水平飛行。敵機はほぼ垂直に上昇。

 敵機のラダベータが20度ほど外側に開き、ピッチアップ。右エルロンは上がり左エルロンが下がる、180度右ロール。機首が水平-50度ほど、キトゥン6の方を向くと動翼をニュートラル。敵機増速。

 キトゥン6が後ろを見ると急速上昇した敵機が急旋回し、こちらに向かって来るのが見えた。低い高度からの垂直上昇によって運動エネルギーを位置エネルギーに変換、そこからハイ・ヨーヨーの様な機動。何がAs-61とど同程度の性能だって? Hummingbirdは次元が違うじゃないか。

 キトゥン6がスロットルを押し込む。


 アフターバーナー-ゾーン1


 増速したキトゥン6に敵機がアフターバーナー無しで接近。

 そこにキトゥン1が急降下。トリガーを一段目まで引き、ガンカメラスタート。HMDに機銃照準が表示され敵機に合わせる。

 照準と機首があうとトリガーをさらに引き、機銃作動。

 一発が敵機機首に命中。キャノピーに穴を開ける。

 命中弾を受けた敵機が左旋回、そしてピッチアップ。キトゥン1に機首を向ける。

 突っ込んでくる敵機を回避したキトゥン1にもう一機が突っ込んでくる。ヘッドオン。

 両者が反射的に機銃を撃つ。

 上昇する敵とすれ違い、キトゥン1が後ろを向くと先程の敵機後方についたキトゥン6が見えた。

 キトゥン6、兵装選択スイッチを切り替える。


 RDY R-89 - 4


 敵の後ろにまわったキトゥン6が短距離ミサイルを発射。敵機エンジンから排出される赤外線をIRシーカーが探知、ロケットモーターを点火。

 敵機の推力偏向パドルが開き、アフターバーナー点火、大バンク角で急速旋回。

 ミサイルが敵機との距離を詰めるが、敵機ハイGターンとフレアでミサイルをまく。

 再度攻撃を試みるが人間離れした激しい機動で振りきられる。


「こちらキトゥン6、敵を捉えられない。誰か攻撃してくれ」

「こちらキトゥン1。後ろに敵機。きゅうえ」


 いきなり通信が途切れる。キトゥン6が右を見るとパラシュートが開いていた。隊長が落とされた!?

 次の瞬間、パラシュートにM0.5程度でキトゥン1と交戦していた敵機が接近、機首から閃光を放つ。23mmAA弾が人体を粉々に粉砕する。パラシュートにぶら下がっていたキトゥン1パイロットは赤い肉片となって、海に落ちていった。

 キトゥン6は視線を前へと戻す。バレルロールを行う敵機になんとか食らいついていたが、マニューバから水平に移った敵機が機首方向を変えずに上昇し、急激に減速。

 背面飛行をしていたキトゥン6が顔を上げると、のっぺりとしたハミングバード機首が見える。

 キャノピーのない、顔のない戦闘機。人を感じない戦闘機。キトゥン6が得体の知れない何かを凝視する。殺される。そう、パイロットは感じた。

 キトゥン6の後ろに位置した敵機が機銃発射、右翼上面を通過。第二射、垂直尾翼に被弾。二枚の垂直尾翼が引き飛ぶ。横安定を失った機体がZ軸を中心に回転。

 キトゥン6が射出レバーを引く。

 キャノピーが吹き飛び、パイロット射出。

 着水したキトゥン6にハミングバードが迫る。隊長の様に殺される。その思想はパイロットを支配し、体を逃げ場のない海でもがかせる。

 緩いバンク角で降下してきた敵機は推力偏向パドルを上に向け、内向きになったラダベータを外側に開く。

 安定性をアピールするように、機軸を垂直に立てロールするハミングバード。壊れそうなほど薄い翼。機首先端から膨らみ始めコクピット付近で柔らかな膨らみを描きくびれ、平行になった起伏のすくないボディ。艶消しの滑らかな黒いスキンがスマートな大出力エンジン二機を包み、それを挟む華奢なV尾翼。スラリとした、ステルスのために空力特性すら棄てた機体形状。

 全てがキトゥン6の脳に刷り込まれる。虹色に輝く蜂鳥がパイロットの脳裏を焼き染み込む。

 しばらくすると離れ、大出力エンジンの性能を見せつけるかのように急速離脱した。

 洋上には青い塗装の戦闘機の残骸、そしてキトゥン6パイロットのみが浮いていた。







《地上管制、こちらシーランナー。洋上にAs-61とおぼしき残骸を発見》

《シーランナー。パイロットは見えるか?》


 シーランナーの搭乗員が双眼鏡で辺りを探る。


《パラシュートを発見、付近に大量の鮫がいます。別の地点にもパラシュート、同じく鮫が群れています》

《そうか。上空で待機、回収部隊が到着し次第帰投しろ》

《シーランナー。了解》







《As-61》


 ・性能


乗員:1名

全長:21.1m

全高:6.47m

翼幅:15m

翼面積:79.96m2

空虚重量:18,700kg

運用時重量:28,300kg

最大離陸重量:36,000kg

動力:BeT製A/B付きターボファンエンジン167.4kN×2

最高速度:M3.1

巡航速度:M1.8

巡航距離:3,600km

実用上昇限度:20,000m

翼面荷重:360kg/m2


 ・電子装備


アビオニクス:FC210

レーダー:F039

レーダー警報受信機:SPO-33

ミサイル警報装置:SPO-28

DDD-50 チャフ・フレア・ディスペンサー


 [機体概要]


 高いステルス性、速度性能、運動性、スーパークルーズ性能を特徴とする。基本設計ではあまり最新鋭技術は使用されず、堅実な設計方針の元開発された。それにより、信頼性と整備性は高く機体価格も比較的安価。

 V型垂直尾翼二枚に一対の全遊動式水平尾翼をもち、エアインテーク前方の翼根付近に収納式ストレーキが装備される。ストレーキは揚力増大や運動性向上等の目的である。

 機体は複合素材を多用しているため大型機であるが軽量である。

 各翼面の角度を統一、エアインテーク内部へのレーダー波減衰形状、電波吸収塗料の使用等により後方以外は高いステルス性を誇る。エンジンノズルは赤外線放出を抑えるための形状となっている。

 武装は機体下部と側面のウェポンベイに装備される。格納スペースの問題で下部ウェポンベイに装備可能な大型装備は限られ、側面ウェポンベイには中距離ミサイル及び短距離ミサイルのみ装備可能である。固定武装として30mm機関砲を装備。この機関砲は30×160mm対空弾が主に使用される。他には焼夷弾、徹甲断、曳光弾等を使用可能。発射速度毎分1,200~1,700発、初速850m/s、有効射程760m。機関砲であるため発射速度が遅く、弾が軽いため破壊力に劣る。また、搭載弾薬数が少ない。固定武装の機関砲はアップグレード予定である。


 [エンジン]


 低圧4段を2段低圧タービンで駆動、高圧5段を2段高圧タービンで駆動する低バイパスターボファンエンジン。

 タービンブレードはセラミックスコーティングによる耐熱加工が施され、空力的に洗礼されたフィルムクーリングにより高い燃焼温度を実現。圧縮比も高い。

 全周囲に10度の偏向が可能なエンジンノズルは機体に高い運動性を寄与する。

 モジュール構造及び、エンジンへのアクセスがしやすい設計により整備性が良い。

 燃焼温度上昇等により性能は良いがエンジン寿命は短くなっており、従来機と比較し部品交換のサイクルが短い。だが、細分化されたモジュール構造、大量生産によるパーツ一つ一つの安さ等により運用費用は抑えられている。


 [アビオニクス]


 探査範囲、距離、複数目標捕捉性能に優れた発展型レーダーを搭載。

 ステルス性の高い目標に対応するため、各周波数帯の波長を照射可能であり、赤外線探知能力等をもつ。

 コアとセルからなる統合制御コンピュータは並列処理能力、高速処理能力が高い。

 高い対電子妨害能力をもつが、電子妨害能力は低い。改修により電子妨害能力を強化する事も可能ではあるが、現状電子戦では電子戦機による支援が必要。



《As-46》


 ・性能


乗員:1名

全長:20.61m

全高:6.03m

翼幅:14.89m

翼面積:63.1m2

空虚重量:18,100kg

最大離陸重量:32,000kg

動力:BeT製A/B付きターボファンエンジン109.7kN

最高速度:M1.98

巡航速度:M0.77

巡航距離:4,100km

実用上昇限度17,900m

翼面荷重:381kg/m2


 ・電子装備


アビオニクス:FC100

レーダー:F004E

レーダー警報受信機:SPO-21

ミサイル警報装置:SPO-16

DDD-10 チャフ・フレア・ディスペンサー


 [機体概要]


 高い運動性と航続距離を併せ持つ戦闘機である。

 二枚の垂直尾翼に一対の水平尾翼、クリップトデルタ翼に大型ストレーキを装備したブレンデットウィングボディにより優れた空力特性を持ち、失速が遅く生み出される揚力も大きい。

 しかし、エアインテークの形状が制限され、特定の迎角で内部曲面により発生する気流の乱れにより、コンプレッサー・ストールを招く結果となった。さらに、開発当初は問題とはならなかったが、曲面の多い機体形状はステルス性との相性が悪い。

 現在は改修においてステルス性向上の為、エアインテークの形状が四角い物へと変更された。コンプレッサー・ストールは問題となった部に、ハニカム構造の整流板を取り付けることにより改善された。

 機体はアルミニウム合金とチタン合金が多く占める。激しい機動で生ずる高いGに対応するため、剛性と強度の高い設計となっている。それにより重量が増加し速度性能が低下したが、高出力エンジン搭載により解決された。

 武装は翼下面に各種ミサイルと爆弾を装備可能、翼端には短距離ミサイル等の小型ミサイルのみ装備可能。固定武装として30mm機関砲を装備。この機関砲は30×160mm対空弾が主に使用される。発射速度毎分1,200~1,700発、初速850m/s、有効射程760m。対空弾は搭載数が多く継続戦闘能力が高いが、重量が増加するため実際に搭載する弾数は制限される。


 [エンジン]


 低圧4段高圧5段をそれぞれ1段タービンで駆動し、大型高出力を特徴とする。

 低圧コンプレッサーにはチタン合金やアルミニウム合金を使用する等の軽量化はなされているが、重量の大きいエンジンとなっている。

 大型ではあるが空気吸入量が多くコンプレッサー性能、燃焼性能も良いため出力が大きく、従来機と比較しややバイパス比が大きいため燃費も良い。

 ノズルは上下10度程度稼働する推力偏向機構が備わっている。


 [アビオニクス]


 ルックダウン性能及びレーダー索敵距離に優れたレーダーを搭載。

 レーダー自体は洋上戦闘において高い性能を誇るが、レーダー照射角が狭く索敵範囲が狭い。また、衝撃に敏感で信頼性におとる。

 捕捉性能も低く、一機をロックするとその他の機体が捕捉できなくなる。

 これらの欠点は初期のものだけであり、レーダーは素子をより信頼性の高い物へと変更し、機体との支持構造も改良された。

 捕捉性能はソフトウェアアップデートにより改善され、基本性能も向上した。


 [無人機化]


 旧式化の進むAs-46はさらなる近代化改修案などが提案されてきたが、ステルス性と相性の悪い機体形状、コンパクト化を意識した設計及びブレンデットウィングボディ採用による拡張性の低さが主な課題となった。

 複数の要因が鑑みた結果、As-46はもっとも最適と判断された無人機化が進められた。

 無人機化には専用のソフトインストール及び専用ハードの増設により、比較的簡単に行う事が可能である。

 無誘導であっても進路設定と攻撃座標を設定することで、攻撃地点までの巡航及び地上攻撃等は可能であるが、精密な攻撃及びドッグファイトを行うことは出来ないため、場合によって人による遠隔操作が行われる。

 また、無人機化されたAs-46は支援プラットホームであるZT-2との平行運用が想定される。



《PS-222》


 ・性能


操縦員:2名

機器操作員:18名

全長:50.72m

全高:14.96m

翼幅:51.41m

翼面積:311m2

空虚重量:85,000kg

最大離陸重量:234,000kg

動力:RRC製高バイパスターボファンエンジン162kN×4

最高速度:930km/h

巡航速度:811km/h

航続距離;11,800km

実用上昇限度:13,800m

翼面荷重:433kg/m2


 [機体概要]


 T尾翼に高アスペクトの後退翼をもった高翼機である。空間的余裕に加えて整備性や信頼性を重視した単純な設計により、比較的簡単に改造が可能であった輸送機Z-76をベースとして開発された。

 Z-75と外見上に大きな差はなく、ロートドームの装備、給油プローブの装備、APU強化によるエアインテークの改良、ロートドーム設置による空力変化に対応するためのベントラルフィンの追加、各種アンテナ類の増設、電磁波防護のために窓がない等である。

 600km以上の探知距離、数百の航空目標の探知捕捉及び40機程度の管制が可能である。地上目標及び低空目標に対する探知捕捉能力も高い。

 ロートドームは毎分6回転で回転しており、尾翼が影となる一部を除きほぼ360度にレーダーの電波を照射可能である。内部にはフェーズド・アレイ方式のレーダーアンテナが搭載されている。レーダーシステムはパルス・ドップラー・レーダーを使用し、他機の方位、距離、高度、速度を同時測定可能である。

 ロートドームの装備に伴い、アルミニウム合金製ロンジロンによるの胴体補強が行われ、ランディングギアもチタン合金製の軽量高強度の物へと変換された。

 内装にはギャレー、ラバトリー、休憩スペースがあり、搭乗員が仮眠や軽食をとることもできるため居住性は良い。また、輸送機をベースとして開発されたため、カーゴが広い設計である。カーゴには物資以外に増槽としてブラダタンクを取り付けことも可能。このブラダタンクは燃料タンク繋がるパイプと接続する事で使用される。なお、キャビンやカーゴ上部の燃料タンクや一部パイプはGFRP製布で仕切られており、タンク等からの燃料漏洩時に与圧部に燃料が浸入しない措置がとられている。

 自身のレーダー及び無線装置から発せられる強力な電磁波から乗員及び電子機器を保護するため、機体は電磁波を遮断する素材で覆われおり、これによりキャビン窓がなくなっている。配線にはシールド配線が使用される。

 各種電子機器装備、大型レーダー装備により消費電力が増大したため、発電能力の強化、大容量リチウムイオン電池への置換が行われた。


 [エンジン]


 低圧3段を2段低圧タービンで駆動、高圧4段を2段高圧タービンで駆動する高バイパスターボファンエンジン。

 軽量化及び出力上昇のため、コールドセクションに多量のチタン合金が使用される。ファンブレードにはエッジ部がチタン合金で補強されたCFRP製を使用し、空力的に洗礼された複雑な形状により吸入効率が上昇、バードストライク等の衝突にも強く軽量である。

 チタン合金製コンプレッサーにより圧縮比を上昇、それに併せ燃料噴射ノズルの改良により出力が強化されている。

 高圧タービンにはニッケル系耐熱合金が使用され重量が大きいが、低圧タービンには耐熱性に優れる軽量のチタンアルミ合金が使用される。

 大出力レーダーと多数の電子機器搭載により増大した消費電力をまかなうため、各エンジンの発電機をより強力な物二基へと置換された。



《ZT-2》


 ・性能


乗員:12名

全長:37.8m

全高:10.63m

翼幅:32.1m

翼面積:131m2

空虚重量:34,200kg

最大離陸重量:64,600kg

動力:TG製ターボプロップエンジン 5,100hp×4

最高速度:810km/h

巡航速度:620km/h

航続距離:7,890km

実用上昇限度:9,000m

翼面荷重:420kg/m2


 [機体概要]


 早期警戒機として開発されていたDA-17を無人機支援プラットホームとして改造した機体。主に無人機化されたAs-46との連携が想定される。

 改造では電子装備の変更増設がなされ、翼の変更が行われた。

 改造による重量増加と予定以上の運用回数増加により翼に想定以上の繰り返し荷重がかかり、翼上面にクラシックが発生する事態となった。これに対応するためCFRP製翼の炭素繊維の織り方の改良が提案されたが、最適な織り方の試作や製造ラインの都合により却下された。他には翼上面のみの素材変更が提案されたが異種素材の性質の違いにより却下された。

 そのため、DA-17輸出モデルのアルミニウム合金製翼を使用したところ解決されたため、胴体はCFRP製、翼はアルミニウム合金製となっている。輸出用は国内仕様と比較し翼面積が広くなっている。

 機体上部に板状レーダーが装備され、探知範囲400km、各周波数帯を使用可能。無人機化As-46は主に対地攻撃任務での使用が想定されるため、地上目標に対する探知捕捉能力が高くルックダウン性能や低空目標探知能力も高い。Xバンド、Cバンド周波数帯等を使用したグランドマッピングも可能。

 十数機の無人機を同時に管制し、三機まで遠隔操縦も可能。遠隔操縦可能数は機体の遠隔操縦装置を増設することにより最大五機まで増やすことが可能。しかし、重量増加により航続距離が低下するため基本的に遠隔操縦装置増設は行われない。

 多くの改造を施されているが、電子装備の増加、翼の変更に伴い重量が増加している。そのため、エンジン改良、プロペラ翼型改良により推力を増加している。これにより、搭乗スペースの振動問題が発生した。搭載電子機器に大きな問題はなかったが、居住性の悪化による搭乗員へのストレスが大きかったため、エンジン取り付け部の改良、座席を振動吸収に優れたマグネシウム合金製支持構造座席採用により改善された。

 また、内装にAI-Li合金、難燃性マグネシウム合金、チタンアルミ合金等の使用により軽量化が図られている。


 [エンジン]


 フリータービン式ターボプロップエンジン。圧縮機14段を2段タービンで駆動し、前4段は可変ステータ。フリータービン1段。プロペラ八枚。排気により得られる推力は全体の約20%。

 無人機支援プラットホームとして機体を改造したのに伴い改良がなされた。

 圧縮比向上、燃焼温度上昇が実現したが大型化した。大型化による重量増加はコールドセクションにアルミニウム合金、マグネシウム合金等の軽量合金の採用により抑えられている。なお、使用マグネシウム合金は難燃性、耐腐食性、強度に優れる。

 エンジン出力上昇により減速機にも改良がなされ、プロペラ回転速度が上昇している。プロペラ自体にも改良がなされ先端部後退変更、翼型変更によりプロペラ効率は90%近い。強度も上昇し鳥との衝突にも強い。

 エンジン排気は翼上面を通る設計であり、排気の当たる箇所は揚力が増加する。

 翼はアルミニウム合金製であるが、エンジンカウルには炭素系複合素材が使用される。



《HB-124PS》


 ・性能


操縦員:2名

乗員:10名

全長:22.6m

全高:7.2m

翼幅:21.5m

翼面積:81.11m2

空虚重量:12,900kg

最大離陸重量:29,800kg

動力:DH製高バイパスターボファンエンジン 71.8kN×2

最高速度:923km/h

巡航速度:810km/h

航続距離:7,910km

実用上昇限度:1,180m

翼面荷重:222kg/m2


  [機体概要]


 ビジネスジェット機HB-124を救難捜索機として改造した機体。尾部リアエンジン二基を搭載し、T尾翼と強い後退角をもったウィングレット付きの主翼をもつ。ベース機が民間機かつビジネスジェット機のため、機体はアルミニウム合金が多くを占める。

 安定性を重視した機体であり突風等の外力の影響を受けにくく、操縦もしやすい。

 救難捜索のため複数の改造がなされている。捜索用レーダーアンテナ及び赤外線暗視野装置を装備し、広範囲捜索、夜間捜索も可能。胴体には捜索用大型窓が設けられている。機体尾部に救助物資等を投下するための投下口があり、機内から投下装置に物資を入れ投下することが可能。


 [エンジン]


 低圧3段を1段低圧タービンで駆動、高圧5段を1段高圧タービンで駆動する高バイパスターボファンエンジン。

 民間ビジネスジェット機用エンジンのため、ファンが大きくバイパス比は高く、シェブロン付きエンジンナセルによって騒音が小さくなっており、バイパス比が高いため燃費にも優れる。

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