第4話 行方知れずの姉弟

すぐに装備品を準備してミニパトに乗り込み小学校へと向かう。


「神野です。通報を受けてきました」


あくまで落ち着いて事務的に名前を名乗れば教員に校長室へと案内される。


「すみません遅くなりました。」


挨拶をしながら扉を開けば、校長先生、久保先生、それに黒田姉弟の両親がそれぞれソファーに座っている。


まずは状況を整理して事件性を判断しなければならない、こういう行方不明事件は初動や判断を間違えれば取り返しのつかない事件に発展することも有り得る。


「まずは、いなくなった時の状況を教えていただいてもいいですか?」


手始めに、部屋の中にいる人達に声をかければ、久保先生が口を開く


「黒田姉弟はいつもどおり授業を受けて、2人仲良く校門を出ていきました。それが…今日の午後4時くらいのことです。私が校門で見送ったので間違いありません。そのあとは川沿いの道を歩いていくのを見届けただけであとは…」


と覚えている状況を教えてくれる。


次に、黒田姉弟の親に対して


「何か不審な電話やご自宅の付近で不審者を見たりしませんでした?」


両親は質問に対して2人で顔を見合わせて、何かを話し合えば、父親が


「いや…そんな電話や不審な人を見たりしてないなぁ…今日は一日中家にいたし…帰って来た時は必ず挨拶する子達だから、静かに帰ってきて、勝手に出かけることも無い…」


と戸惑った声で話す。


現状これだけで判断できることといえば、事件、事故の両面で捜査や捜索をしなければならない。


「分かりました。私は本署に報告してからこの辺りの捜索に入ります。心当たりのある場所や、何か気づいたこと、変化があれば警察署に連絡してください」


校長室にいる人達全員にそう告げれば、私は部屋を出る。


朝の見回りをしているから人着(服装や体格)は分かる…本署の基地局に状況と人着を伝え、手配をしてもらう。もちろん応援も要請。


「さてと…とりあえず今できることはやったし…探しに行くか!」


気合を入れるつもりで声を出しミニパトに乗り込む。


山の向こうに沈みかけている夕陽…残されている時間は少ない。

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