8【魅力的な君】

 


「どうした? やけにおとなしいじゃないか」


「……別れてほしいの」


「ああ、いいよ。じゃあな」


「ちょっ、ちょっと待ってよッ!」


「なんだよ」


「普通、こういう場合は、『いやよ、別れたくないわ』とか、『どうして別れたいの?』とかじゃない」


「私、普通じゃないし。それに、別れたがってる男を引き止めるだけの魅力ないし」


「また、そんなご謙遜を。君はなかなか魅力的ですよ」


「だったら、なんで別れんだよ」


「……君の気持ちを確かめたくて」


「ッ、最低! そんな男、こっちからお断りだよ。水、ひっかけてやる。ほーれッと。バーカぁ」


「……ビショビショだぁ。クッ。水もしたたるイイ男にしたかったのかなぁ。待って~!





 ムチをお忘れですよ~、サディズムちゃ~ん」

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