信仰の本質を垣間見る

人間とは不安定なもので、何かに縋りたくなるもの。主人公のさあくも、そのようなごく普通の人間だ。中世の欧州を舞台としたこの作品は世界観を振り切ってあなたのもとにやってくるに違いない。

禁教徒の村に住む主人公さあくは己の罪を意識しつつも、周囲の人間が懸命に生きる姿を眺めている。また、自身の信仰が不純なものではないかと考える日々が続いていた。すると、ある日役人が村を訪れ祈りを捧げるさあくを尋問するのだが……


「救われますか?」

そう語った主人公さあくは私の中で純粋で自然な信仰心を持つ、ありふれた人間に思えた。読了後、あなたは一体主人公さあくをどのように捉えるのだろうか。