蟻すらも恐れていた少年がある日魔法で世界最強になった話

@brassband

第1話

ここはどこにでもあるような田舎の町、虫見町。(むしみちょう)

そこにこれも今の世代らしいインドア派の少年、草間 俊太郎という名の少年が

住んでいた。彼は今、一人暮らしをしている。「今」、つまり彼は本当は

一人暮らしではなかったのだ。共に住んでいた祖父が2年前に亡くなり、

それからずっと一人で頑張っている。

しかし普通に見える草間君だが、彼にも弱点がある。それは虫だ。

ここで生活してかれこれ12年になるが未だに蟻を触ることができない。

本人も努力はしているのだが、結局落ち込んでいる。

「どうして僕は蟻すら触れないんだろう…」

こんな毎日が続いていた。


そして、彼は14歳になり、4度目の祖父の命日を迎えた。

その日の夜、珍しく夢を見た。

夢の中ではかすかに声が聞こえる。

(納屋の奥の扉を開けてはならん…開けてはならんぞ…)

そう聞こえた気がした。

どこかで聞いたことがある、しかし思い出せない誰かの声だった。

「…そうだ!おじいちゃんの声だ!」

彼は思い出した。

「けど、なんでおじいちゃんの声が聞こえたんだろう…。」

もう朝になっていた。

確かに家の裏には納屋がある。

「もし、夢で言ってたことが本当なら、この扉の先になにがあるんだろう?」

そのとき彼の心の中では、扉を開けたいという好奇心と、

危険なのではないかという警戒心がひしめき合っていた。

結果、好奇心が勝って、彼は扉を開けてしまった・・・。


第2話に続く

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