第31話 合宿・3

「はいっ!」


聡子が手を挙げます。


「ウチはやっぱり、固定回復砲台になるから、体力面はイランと思うんやよ」

「ちょっと極端だけど、一理ある。千野先輩だけ別メニューで練習しましょう」

「やったぁ!さすが部長はん、話がわかるぅ!」


聡子は喜びのあまり、指をパチリと鳴らします。


「それで、次はどうするの?」

「いよいよお待ちかねの実践練習です」

「まず、ナンシーさんの演算魔術能力が気になるわね」

「ナンシーの演算魔術は、味方の能力をコピーすることができる」

「ほうほう」

「つまり、私の『クリエイト』がコピーできるということね?」

「うん」

「それは凄い!希少価値のある『クリエイト』が複数使用できたら、相手も面食らうだろう!」


了が喝采します。


「ついでに、改めて全員の能力を確認しておきたい」

「そう言う部長はんは?」

「僕も、ついに演算魔術能力に目覚めた」

「初耳ね」

「ボールをワープして投げることが可能になった。今は、コントロールの練習中だ」

「ふーん」

「なんか微妙」

「ゴウリキさん、辛辣!」

「ワタシは筋力強化の能力に目覚めた。バレーでスパイクを打ち込むとき、手が巨大化して、力強いスパイクが打てる」

「うーん、『ブリッツ・ライン』では使い辛い能力かな?」

「今は、他の筋肉が巨大化できるか練習中」

「練習でどうにかなるもんかな?」


了のツッコミです。


「俺は、竹刀が伸ばせるぜ!」


了の手にした竹刀がぐんぐん伸びていきます。


「どれくらい伸ばせるの?」


ナンシーの疑問です。


「13キロや」

「えっ」

「千野先輩、嘘言わないでください!そんなに伸びません!」


了が必死に否定します。


「ある程度は伸縮自在にできるようになった。竹刀というより、鞭を武器にしていると思ってくれ」

「了の能力は『ブリッツ・ライン』で役に立ちそうだな」


「ウチの能力はお茶でみんなを回復させるんやよ」

「お茶・・・」

「あっ、ナンシーちゃん、その目は信じてへんな?」

「いえ、千野先輩と密月さんが回復しているのを見るに、信じられます。ただ、『ブリッツ・ライン』の戦闘中に優雅に回復する暇なんてありますか?」

「いい質問だね。そこで僕の能力が活用できる場面だ。千野先輩と協力して、お茶をワープさせる練習をする予定だ」

「あっ、なるほど」

「腑に落ちたようね」

「お茶をワープさせる練習ってパワーワードだな・・・」


了のツッコミです。


「そして、かりきゅー部が誇るエースのこの私の演算魔術能力は、クリエイトを筆頭に数多くの能力を使えるわ」


「おおー」


他のメンバーから、パチパチと拍手が陽華に送られます。


「じゃあ、練習メニューとコンビの組み合わせを発表します。 僕と千野先輩、陽華とナンシーさん、了とゴウリキさんがペアを組んで練習しましょう」


「私は嫉妬する」

「今はラブコメ控えめで部活ものやから・・・」


団三のメタ発言的ツッコミです。


「陽華とナンシーさんは、なるべく『クリエイト』以外の能力もコピーしてみてくれ。前に華恋さんが言ってたみたいに、『クリエイト』はエネルギー消費が激しいから、使い所が難しい。あまり頼り過ぎないようにね。了はゴウリキさんの打ったスパイクを鞭でさばいてくれ」

「なんか無茶苦茶なパワーワードがでできたぞ」

「言い方が悪かった。連携攻撃の練習をよろしく」

「ああ、なるほど」

「了解」


こうして、合宿1日目はペアによる練習で費やされました。

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異世界研究会と時間溯行同好会の仁義なき戦い 売才三 @urusaizou

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