少年Alice band(アリスバンド)

杜甫口(トホコウ)

誕生

もっと星くずみたいに言葉を散りばめて少年が転げ落ちましたよ

天高く木組みの空から

糸玉が解けるようにころころと

雨雲を踏み外し

ガラスに

落ちましたよプラスチックが

彼の言葉を取り囲んで

棒に頭を振るって

夜道を照らすよ川に

涙が零れ落ちてかたまりますよ空に

それは千年の石ころとなって転げまわるの

底の

透明なケースの中から

藻が

絡むよ二度

三度

彼は跳ねて表面に出るよ彼の逞しさが


水しぶきとともに開くよ

上昇

上昇

上昇が行くよ

真っ赤な短い

赤いパンツ

ポケットから

石ころ一つ取り出して

少年は辿り着いたよ

七億年の

停車場へ

うっすら口紅が包むよ

すると彼は

笑むんだ

笑んだった

既に違う

対岸を頭にくっ付けた彼は

ゼンマイ仕掛けのトンボみたいに

緋々色の王宮を嗅ぎ分けながら

回るよ

金庫の

耐火式のダイアルを回して

開くように

髪を分けるよ

髪を掻き分けたならば

彼は……彼は最後の

実り豊かな黒髪を

裂くよ

巻いていたベルトを

解くよ

にきびを

潰すよ

弦を

殺すよ

凍りつくの

纏うのいま

両腕で隠した夜の

お日さまから

張り付いたみずを

飲むよ

すると眠気眼の偃月が

起きるの


つまり彼は着替えさせられたよ

母さまに

父さまに

神さまに

それから

君に

微笑んだよ

すべて

君の言う通りにしたんだ

君が思い描く服を着て

ほらキミは

とんだね。

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少年Alice band(アリスバンド) 杜甫口(トホコウ) @aya47

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