幽霊の部長と生意気な部員の、ちょっと滑稽で、でも実感のあるやりとりが楽しい作品。
注目すべきは、作者の「ニュアンスを文章化する力」。
部長は何故、『心残り撲滅キャンペーン』に部員をつきあわせようとするのか? 部員は何故、快く部長の願いを叶えてやろうとしないのか?
部長と部員がお互いを思いやる気持ち。その心の機微が行間から滲んで、読みながら泣いてしまいました。
言葉にしにくい「ニュアンス」というものを言葉にするのが文筆家だとしたら、作者は間違いなく才能のある方です。
また、読んでいて不思議と場面場面の色彩が眼に浮かび、そのことにも驚かされました。