町から追放された主人公レノーが様々な人と出会い、笑い、傷付き、成長していく物語です。やわらかい文体なのでハードカバーの児童文学のような雰囲気に見えますが、内容は災害や社会的な厳しい部分も描かれていてそこに強くひかれました。現実問題と厳しさがしっかりと書かれていて主人公達が懸命に前に進もうとする様は胸に刺さり、涙腺がとても熱くなります。
王道ファンタジーとはまた少し違いますが、それでもどこか懐かしさを感じさせる深いファンタジー世界の描写が私的に大好きで、紙媒体でじっくりと読みたい物語だとも思いました。
それこそ大人向け絵本の雰囲気が好きな方とかは惹かれるお話ではないでしょうか。彼ら彼女らの進む道は是非にご自分の目で確認してみてください。
読み終えた後はきっと主人公達の強い決意に胸が熱くなるでしょう。
クフィーニスと呼ばれる禁忌の力を得てしまった少年レノーの、旅と冒険、犠牲と成長の物語。
村を追われたことと、忌まれる力のせいで心を閉ざしがちなレノー。彼を支えるけなげな少女フェミ。被差別族だけれども誇りとユーモアをもって彼らの旅を明るくするアルルとクルル。彼の力を悪用しようと近づいてくる大人たちに、都で出会う不思議な歌姫……
ストーリーは差別や災害も描かれ陰鬱な部分もありますが、キャラクターの魅力で先に先にと読みました。個人的には、「最高に気持ちのいい御者」リサクさんと、淑女なクルルがお気に入り。
剣と魔法ではないファンタジーや、少年の成長物語が好きな方におすすめ。