第2話 自問自答

かなうと私とそれからあの男子くん…

名前はなんだっけ、忘れちゃった。


この3人で帰ることが増えてきた今日この頃。

とは言っても、男子くんと会話することはそんなにない。こうして名前も覚えていないのだから。

かなうもなぜか、彼のことを「君」と呼ぶから尚更わからない。



もう少しまともに話をしてみたいものだと思うが、かなうがいないときに2人で帰ることはない。

というより、向こうがこちらに視線を向けることがないから話しかけにくいのだ。彼はいつもイヤホンをつけてそのまま歩き出してしまう。



実を言うと、私は再入塾して1ヶ月ほどでクラスが上がってしまった。

だから2人と話す機会は帰りしかないのだ。


(授業中、2人は何を話してるんだろう…)


(私がいない時は、2人で帰ってるのかな。)


そんなことをふと考える。

いつの間にか、2人のことばかり考えていることに気づいた。

──付き合ってるんだろうか。


「ドクンッ」

一度だけ大きく鼓動し自分で驚く。


だとしたら、男子くんが3人で帰ってるのにも関わらず全く話さないことだとか視界に入らないことだとかいろいろと辻褄が合う。


あんなに明るい態度で人と話しているのに無反応でスルーなんて、興味が無いとしか考えられない。


(なんでかな、心臓がぎゅってして痛い。)


(かなうと一番仲が良かったのは私だったのに…)




" ほんとにそれだけ? "

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

寂恋 蓮。 @Renka_t

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ