素晴らしき結婚

作者 ささやか

121

42人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

めちゃくちゃ面白かったです!

「結婚は人生の墓場」とよく言われるフレーズからの連想なのか、結婚のお話なのに登場人物や会社の名前がことごとく不吉。水子にメメント・モリに浅墓、アドバイザーはゲリラ豪雨で、友人はあぶく銭、男どもはどれも人の名前を持っていない。このセンス!

「結婚ってなに?」という問いは答えが出るような類のものではなく、だから水子は見つからない答えを探しながら「結婚」というものの漠然さに翻弄され、友人の泡銭金子はその問に自分なりの答えを見つけとっとと戦場から退場するという対称を見せたのだなと思います。
紫プランを選んだ金子の選択も、倫理的にはどうか分からないけれども、「結婚」というものに対して答えを出したということ自体が正解なのかなと。

物語の結末として水子は結婚に至りますが、これはとてもいいエンディングだなと思いました。「結婚したかったから結婚する」というのは、水子が結婚という問いに出したアンサーであれば、それはとても「アリ」なのだと思います。

答えのない問いに自分なりの答えを出すということが大事なのだというお話だと思いました。

★★★ Excellent!!!

非常にテンポ良く気楽に読めました。
序・中盤はそのテンポを活かしコミカルで可笑しく。後半は恋愛観や出会い、そして幸福について綺麗に纏められていて笑いだけでなくなるほどなと納得させられる面もありました。

長編を読むのは少しという方にもお勧めですが、お話は必ずしも壮大でなくてならないと書くのを悩んでいる方へもお勧めしたい作品です。

★★★ Excellent!!!

まず人物名の魅力がすごい。大海原水子に泡銭金子にゲリラ豪雨。パルテノン神殿にリアス式海岸。これだけでもうすごくすごい。格好いい。
結婚しようと思いついた水子は葬儀屋であるメメント・森(仔狗川店)を訪れ、人生墓場アドバイザーのアドバイスを元に結婚への道を邁進していく。
階層がどんどんズレていくような応酬がとてつもなく心地よく、時折挟まる真理(結婚には結婚相手が必要、など)にハッとしたり、急に出てくるエスペラント語に爆笑したり、あらゆる五感が刺激される文章が最高。
ものすごく面白く読めるのに、根底にある「結婚とは何」という命題が読み終わってからも体の中にあって、こんな体験型の読書はしたことがないな〜と幸せな気持ちになりました。

★★★ Excellent!!!

婚活婚活とかまびすしい世の中だが、そこで求められるのは婚姻の条件であり、人生が語られることは少ない。

そもそも騙れる経歴はあっても語るべき人生を持たない我々には土台無理な話なのかもしれない。

そもそも自由恋愛が導入されたのはごく最近のことであったし、村上春樹の猿真似をしようにも春は既に過ぎ去ってしまった。

残された我々は安心を得たいがために他者を犠牲にする。

幸福な空虚がそこにあった。