あたしが詩人だったなら
トホコウ
1
夢を見よう
歳を取るにつれ
誰か点けてくれた灯り
明日が潰えてゆく
ついに夜がわからなくなるとき
この目に映るものを知る
今も
明日にもないもの
一瞬の
美しいもの
あたしが出会えたかもしれなかったもの
あたしが詩人なら
話を聞こう
突然あの人とした会話を思い出す
今も
明日にもないもの
きっとあたしが弱っていなければ
聞くこともなかったこと
あたしが詩人なら
息を嗅ごう
人の苦しむ匂い
とうとう無視した
今も
明日にもないもの
懐かしい香り
人のやさしさ
あの日のものを味わおうよ
あたしが残してしまったもの
食卓の
上に浮かんだいくつもの顔
あたしが食べなかった
感じよう
あまたの感情
肌を刺して伝わる
あの人の気持ち
ひと時も感じなかった
針ばかり突き刺してきた
この道
今足元が光っている
柔らかな灯り
明日の終わり
あたしはいったい
なにを残せただろう
あたしはいったい
なんと言えばよかったんだろう
きっと夢も残せただろう
あたしが詩人だったなら
あたしが詩人だったなら トホコウ @aya47
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます