第4話


安全保障から入るからおかしいのではないか。国民は社会党を通して反戦平和を望んだが、社会主義は望んでいなかったように思う。ベトナム戦争なんかでは反米であっても、生活の豊かさを考えたら断然アメリカである。経済すべてを計画的にやることはどだい無理だと思う。宇宙ステーションは作れても、靴がちゃんと行き届くようにするのは難しい。ソ連がそれを証明した。市場の有用性を認めざるを得ない。社会主義になびいたのは、資本がその剥きだしの暴力性を持った時代である。貧困から抜け出し、戦争のない世界を思うとき社会主義は理想に近い道に思えたのである。ロシア革命だって、中国の革命だって貧しさから抜け出す農民革命だと思っている。ベトナムは、あれは植民地からの独立戦争である。アメリカが認めてやればしなくていい戦争だった。社会主義の登場によって、資本の側も多くを学んだ。福祉政策の取り入れである。市場の有用性を認めるとき、社会主義ではなくなる。こう考えるとやはり社会党はなくなってしかりか。看板に服屋と書いて、食料品を売ったっていい。ようは物がよければいいのである。看板なんて上にかかっているだけのモノ。社会党は純情だ。


安保は認めた、自衛隊は認めた。市場の有用性は認めた。じゃー、自民党でいいではないかと意見が出そうである。国民がいまだに9条に拘っているのは米軍と軍事行動をともにする(しているけど)自衛隊を危惧しているからである。核の惨禍を受けて核に守られているのも矛盾を感じている。沖縄の基地問題にも同情はしている。外国の軍隊が駐留して基地があるのも本来はおかしいとも思っている。原発を含めたエネルギーや安全の問題。企業は内部留保で潤っても、給料は上がらない現実。真っ当に働いても結婚も出来ない、子供も産めない非正規の問題。過労死なんて先進国として恥もんだ。等々いっぱい課題はある。これらに自民党はとても熱心とは思えない。社会党も右だ左だと消耗せず、これらのことに関わりたかったのだろうと思う。新党を作る。少しは社会党に敬意を払った上で、その苦悩と欠点を勉強して欲しいと思うのだ。



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『戦後史のなかの日本社会党』-その理想主義とは何であったのか 北風 嵐 @masaru2355

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