この物語は「El Pirata Del Grimorio ~魔導書の海賊~」のスピンオフと明記されていますが、そこら中に転がっているような「本編を未読では意味が分からない」というような追記モノではありません。
この一作で完結し、本編を知らなくとも楽しめる、「完成した」と括弧書きしてもいいものに仕上がっています。
寧ろ本作を読んでから本編を読む返す、また本編を読む前に目を通していても、本編の奥深さを知る手立てとなる、本当の意味でのスピンオフとなっていると感じられます。
内容も、現実の歴史を知っていれば、モデルとなった国、人物、地方が分かり、またそうでなくとも実際の歴史をしっかりとフィクションに落とし込み、よりファンタジックに、より面白く脚色した物語は面白いです。
知識をひけらかしていると感じない描写も、かなり好感が持てます。
今日、特に今だからこそ読む事をお薦めしたい一作です。