―東京異聞録―『破 補足 ―其の思い、移りにけるや―』まで拝読しました!
台本風、つまり「」の前にセリフを言ったキャラの名前が書いてある、というスタイルで進むストーリー。
この手の形式に慣れていない私ですが、全体から伝わる雰囲気にグイグイ引っ張られ、気付けばどんどん先を読んでいました。
東京を舞台に、異能者たちが活躍するストーリー。
全体を通して仏教や西洋の宗教の知識がちりばめられ、武器の名前や詠唱などにもそれらが取り入れられていて、漂う世界観にとてもワクワクします。
『起承転結』編までは多群雄一くんがメインで活躍する話。
仏像と日本史が好きな私にとっては聖地である目黒不動尊が主戦場で、明和の大火(目黒行人坂大火)をモチーフとした展開です。
史実とファンタジックな要素が上手く絡んでいるところが好きなポイントでした!
続いて始まる『色即是空』編。
私が一番好きな章です。
愛すべきダメダメ『をぢさん』中之氏が、もう最高でした!!
こどおじなんだろうな……(笑)。
この中之氏が頻繁に出てくるのでストーリーが重たくなりすぎず、すいすいと先を読んでいきましたが、ラストでびっくり。
敵を倒したと思ったらまさかの黒幕が!!!!!!
ミステリー的な要素もあって、大変すばらしい展開でした。
台本形式なところもあってか文章がやや粗削りに感じたのですが、この作品には些細なことを吹き飛ばす勢いがあります。
「細かいことは抜き! 自分はこれが書きたいんだぁぁぁぁぁーーー!!」という熱い想いが行間からひしひしと伝わり、胸が打たれます。
タイトルにも書いた通り、この作品を拝読して「創作とは自分の好きなように、楽しんでするのが正解なんだ」と心から思いました。
書き手として大切な何かを思い出させていただきありがとうございます。
最後になりますが、後半に行くにつれて、字の文(ト書き?)がどんどん洗練されている気がします。
ゆえに「」の前に名前を書かなくても誰が言ったセリフか分かるので、もしかしたら台本形式ではなく、普通の小説にした方がとっつきやすいのかも……と思いながら読み進めました。