読者に語りかける冒頭で、すぐに惹き付けられました。
そんな扉があれば、私はすぐに入っちゃうかも、、、と初めは気楽に考えてました。
でも、読んでいるうちにそんな考えはグラグラと崩れていく。
巧みなのは、主人公たちの年齢と本作品の設定が上手くリンクしていること。
その扉を見つけたのが大人であったらきっと入らないし、もっと幼い子どもならすぐに入ってしまったかもしれません。
これくらいの年代の子どものほうが、「どうしようか」と、好奇心と恐怖心の間を行ったり来たりするのでしょうね。
ネタバレになるのか分かりませんが、主人公がトラウマになった経緯を聞いたときは、ゾッとしました。
本当にそうであれば、あの扉は誰かが中に入ってくるように、あれやこれやと姿かたちを変えてやってくるのでしょうか。
上記のとおり、私はそんな扉があれば入ってみようかと呑気なことを考えていたので、これからは気をつけます。
※この度は「お化け企画⑥」にご参加くださり、ありがとうございます。
いま流行りの異世界転移作品の冒頭であってもおかしくはないような始まりですが、ゆえにそれを現実的に見た時の恐ろしい心境と……ハエトリソウという表現力によく考えれば『そうかもしれない』と思わせるゾッとしたものを感じました。
ファンタジーは安心感があるからこそファンタジーとして成り立ちますが、現実的に見ればファンタジー展開ほど恐ろしいものはないのかもしれません。
この作品は異世界の不思議さに対して抱く感情をうまく使い、生々しいホラーに仕上げていて読み終えたあとにはなんとも言えない鳥肌が立ちました。主人公達が小学四年生という夢と現実を行き来できる年代なのがまた味を出していて素晴らしかったです。
ホラージャンルですが、個人的にはファンタジー展開をリアルにとらえたい方や生々しい展開が好きな方はとても好むのではないかと思いました。大変深い内容を短編でうまくまとめあげている凄まじい作品です。