第4話帰り道

先輩の誕生日やらなんやらの情報を得てホクホク状態の俺こと金崎真はスキップで帰宅していた。


「はぁ、まさか先輩の誕生日が2週間後だったなんて、危うく好感度アップイベントを逃すところだったぜ」


先輩に何送ろうかな?

ぬいぐるみとか、アクセサリーとかかな?

これに関しては自分の財布と要相談だな。


「それにしても安藤先輩、見た目に反して可愛い所あるんだな、俺には甲葉先輩という天使がいるけど、仮に居なかったらどうだっただろう?」


今それを悩んでも仕方がないか…

まぁ?甲葉先輩以外を好きになるなんて?あるわけ無いし?ねぇ?


なんて考えながら家の近くにある公園を通りすぎる所で、ふと人の姿が目に入る


「じーーー…」

と、スマホを見つめながらゆっくりとブランコを漕ぐ人がいた。見た感じ女子生徒だし、女子トークという無限のブラックホールに浸っているのだろう。


特に話しかける理由も意味もないのでそのまま通り過ぎようとした時、大粒の雨が降りそそんできた。


「やっべ、そういえば今日雨模様だったな…」


確かここに、おっ、あったあった!

俺はカバンから予備の折り畳み傘をさして帰ろうとする。

流石に彼女もこの雨には気づいたようで、折り畳み傘を取り出そうとするが、どうやら持ってきていないらしく、数秒の間停止して、そして何故かまたスマホをいじりだした。

おいおい女子トーク優先ですか?


「どうすっか…、俺の家まで10分はかかるな…」


俺はこの高校から少し離れた所で一人暮らしをしている。

親が不動産屋をしていて、自分の商品を息子に譲ってくれたのだ、勿論エアコンやら冷蔵庫など、さらに4Kテレビまで買ってくれるというほどである。両親には感謝してもしたらないものだ。


ここで貸してしまえば勿論俺はずぶ濡れで家に帰る事になるだろう。

でも、困った人は放っておけない。

俺は彼女の座っているブランコまで行くと傘を彼女の頭の上まで持っていく


「大丈夫ですか?よかったらこの傘使ってください」

そうやって傘を渡すと俺はすぐさま回れ右をして走りだした。正直心臓がバクバクなのだ、顔も見れないほどに緊張しており、そんなのいらないです。なんて言われるもんならショックで卒倒ものだ。救急車呼んでくれるって?ありがとうな…


俺は今度こそ振り返らずに家に帰った。

まぁ、直ぐお風呂に入れば温まるさ、いやぁ!人助けは気分がいいなぁ!

そう言って俺は家に帰り、高笑いをしながらお風呂に突撃、第一歩を滑らせた

ハハハ…クソ痛ぇ、



「どうしよう…」

私は知らない男の子から折り畳み傘を貰ってしまった…

傘の札のところを見ると金崎真とネームペンでしっかりと書かれていた。

「金崎真…か、今回は有難く使わせてもらうね」

そう言って私は折り畳み傘をさしながら家に帰った


「ただいま…」

家に帰ると、ドタドタといった音が聴こえて彼女が降りてきた


「おかえり〜、ねぇ?大丈夫だった?雨で風邪とか引いてない?」

相変わらず心配性だと思った。まぁ、そんなんだからファンクラブなんか出来ちゃうんだろうな…


「ううん、ちょっとだけ濡れたけど大丈夫だよ、甲葉姉・・・

私はタオルを持って来てくれた姉に感謝を告げながら、少し濡れた頭の水分をしっかりと拭き取った。

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