君と僕の答え合わせ

@ageha-butterfly

第1話

朝晩の冷え込みが落ち着き、もうすぐ季節が変わるんだな。

澤野衛は雑踏の中を歩きながらそう思った。


「最初のニュースです。人気アイドルグループ稲荷坂40のメンバー、白野愛さんが昨夜行われたコンサート中、セットから落下。搬送先の病院で死亡が確認されました。なぜこのような痛ましい事故が起こってしまったのでしょうか。その真相に迫ります……」


交差点の大きな街頭ビジョンでは人気アイドルの死亡事故が大々的に報道されている。事実、昨夜からネットではこの事件について大荒れであり、事故説、自殺説、事件説…様々な憶測が飛び交っていた。


「私はここだよー!」


雑踏だらけの交差点の中、行き交う人々に不釣り合いな服を着た女性がそこにはいた。


澤野は一瞬目を疑い、見間違えたかと思ったが、それは間違いなく白野愛であった。


ふと目が合う。怪しげで、でも人を惹き付ける笑顔で彼女は近づいてきた。


澤野はその場から動けずにいた。後ろからサラリーマン風の男にぶつかられる。しかし視線は彼女から離れない。


「澤野衛くんだよね?」

「どうして俺の名前を?」

「忘れるわけないじゃん。だって……………私を殺した人なんだから」


彼女は妖艶な笑みを浮かべてそう言った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

君と僕の答え合わせ @ageha-butterfly

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る