最終話『駄菓子屋のメル』



 のんじゃ、のんじゃ、のんのんじゃ〜


 今日も陽気にお掃除なのじゃ〜


 メルにかかればチョチョイのチョ……



 ————がばぼらすっ!


「のんじゃぁっ!?」


 また詰まらせてしまったのじゃぁ!!!!

 ど、どうしよう……



 婆っちゃ、元気にしてるかな?



 メルは詰まらせてしまったダイ○ンのコードレス掃除機を分解しながら、青い空を見上げてみるのじゃ。今日はまた、雲一つない快晴じゃ!


 あれからもう五年なのじゃな。


 あ、そうだ。こんなに天気も良いのじゃ。お散歩にでも行くのじゃ。


「おーい、悠人〜。散歩に行くのじゃ〜!」


 メルの声に反応した悠人が恐る恐る奥の部屋から顔を出したのじゃ。悠人の容態はあれからずっと悪化する事もないが、治る事もないのじゃ。殆ど、視えていないのが現実じゃ。


 悠人の親御さん達も、メルを認識してるのじゃ。そしてメルと悠人が一緒にいる事を許してくれたのじゃ。だから今は、この駄菓子屋は、


 メルと悠人が継いでいるのじゃ。


 婆っちゃの遺した大切な場所。メルのお家。


「メル、散歩って……まだ昼だよ?」

「天気が良いのじゃ……それに、今日は婆っちゃに会う日じゃから、挨拶に行かないと」

「そうだったね。わかった、メル、すまないけれどお願い出来るかな?」

「勿論、ほれ、手を出すのじゃ。離すんじゃないぞ?」

「……うん、ありがと、メル」


 く、くすぐったいのじゃ〜、悠人め、事あるごとにメルの頭を撫でるのじゃから……

 でも、心地良いから許してやるかな。





 メルは天使、悠人は人間じゃ。


 いつか悠人は先にいって、メルはまた一人ぼっちになる。


 それでもメルは、現在いまを生きたい。


 ——大好きなヒトと共に。





 人間も、捨てたものじゃないのじゃ






 なぐさめメルるんっ☆——おしまいなのじゃ!

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なぐさめメルるんっ☆ カピバラ @kappivara

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