桔梗色に沈む
篠宮
桔梗色に沈む
彼奴は何時、何処から見ても本当に綺麗だ。
俺がここまで惹かれたのにも、若しかすると関係あるのかもしれない。
そうやって、窓から外を眺める姿も…後ろから呼びかけた俺に対して振り向くその刹那も、更には振り向いて、俺を視界に収めて微笑むその姿も。全部、全部愛おしい。
「紫乃。」
「どうしたの?」
眩しい彼に向かって歩く。そこにいる筈なのに何故か遠くにいるような錯覚に陥る。
手を伸ばしているはずなのに届かない。なのに…
「蒼も一緒に見ようよ。空、綺麗だよ。」
伸ばした手を掴んでまた笑う。窓の外には紫色の美しい世界が広がっていた。
あぁ、なんて此奴に相応しい背景なんだ。
桔梗色に沈む 篠宮 @shino_27
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