突然妊娠できる身体になった男性議員が子供三人を産まされる話

ななおくちゃん

突然妊娠できる身体になった男性議員が子供三人を産まされる話

「そ、そんな馬鹿な……」 


梅田議員は青ざめた顔で鏡を見つめていた。

 2019年、日本でとある怪現象が起きた。二十歳以上の男性の半数が突然、妊娠・出産できる身体になったのだ。

 原因不明のこの怪現象に、政府や医療機関は対応に追われた。女性はもちろん、自分たちの子供を作れることになって喜ぶ同性カップルの姿や、結婚はしたくないけれど自分の遺伝子を持つ子供は欲しい男性、子供を産む苦労を妻に担わせたくない男性など、この状況を素直に受け入れる国民もいた。

この件について与党議員である梅田は「三人以上は産んでほしいですな!」と叫び、子を生み育てるハードルが高い日本の現状を無視した発言に非難が集中することになる。

 この怪現象にはとある特徴があった。孕むことができるようになった男達は皆、身体の一部に『やればできる』という言葉が消えないアザとなって浮かび上がるのだ。

 その部位とは背中、肩、足、胸元と人それぞれであったが、梅田の場合は最悪のケースだった。なんとおでこに浮かび上がってきたのだ。

 梅田は元々、男が子供を産むなんて気持ち悪いと思っていた。そんなものは女の仕事だと思っていた。自分の身体に起きた事態に、使い終わったティッシュより役に立たない男のプライドが崩れ去っていくのを感じた。


「こ、こんなことが周囲にバレるわけにはいかない。なんとか隠しきらなければ……」


 無理だった。深々と帽子をかぶって国会に赴いた梅田だったが、突然吹いた風に帽子を飛ばされ、通行人がそのおでこをスマホでパシャリ。SNSで一気に拡散されたのだ。


「梅田議員、まさかあなたがこんなことになるなんて」


 首相官邸に呼ばれた梅田議員は、文字の浮かんだおでこに汗をにじませながら、現総理大臣である矢部に深々と頭を下げていた。


「矢部総理、誠に申し訳ありません。私としてもどうしたらいいものか……しばらくお休みをいただけますか。急いで『治療』にあたりたいと思っております」

「いや、その必要はないよ。むしろ好都合じゃないか……」


 梅田議員が頭を上げると、そこには不敵な笑みを浮かべる矢部総理の顔があった。


「梅田議員、あなたは確かこの間、子供を三人産めと言っていましたね」

「は、はあ。確かに言いましたが……」

「だとしたらちょうどいい。あなたが三人産んで、国民に示しをつければいい。あなたが出産男性のモデルとなって、少子化防止を錦の御旗にかざせばいい」

「や、矢部総理。私には子供なんて、そんな」

「私はあなたがたくさんの子供を作ることを願ってい……やみません」

「だいたい、相手がいない。私の妻も受け入れるかどうか……」

「大丈夫です。相手はすでに用意しておりますよ」

「相手……」


 そのとき、背後のドアがバンと開かれた。そこにいたのはひとりの女性。

 梅田と同じく与党に所属する麦田議員だった。


「麦田議員との間に子供を作ってもらいます」

「む、麦田議員とですか? ま、まあ、女性相手ならなんとか……」

「麦田議員、見せてあげなさい」


 麦田議員はニヤリと笑うと、自らのスカートとパンツを思い切りずり下げる。

 その股間にあったのは、なんともたくましく、立派にそびえ立つ国会議事堂。米大統領もびっくりのF35であった。


「な……麦田議員、あなたは男性だったのか?」

「実は麦田議員は日夜生産性について考えすぎるあまり、自分が他人を『孕ませる』ことができるようになったのだ」

「そ、そんなことがあってたまるか!」

「どうせ君の身体にも似たような事が起こってるんだ。受け入れ給え。さあ、今すぐ子作りを始めるんだ!」


 後ずさる梅田議員。にじり寄る麦田議員。股間のなでしこアクションがビクビクと水脈打っている。

 やがて、麦田議員の手によって全裸にひん剥かれた。その胸元に浮いている、エッチな五輪……ではなく二輪。


「ああ、総理。私は嬉しいです……生産に貢献できて」麦田が笑う。

「や、やめろおおおおお!」


 麦田議員のUSBメモリが、梅田議員の穴をサイバー攻撃する。復興より大事な議員に、後ろから子種を注がれる。

 合意のない性行為がこんなに何かを奪っていくなんて。子供を産めと煽られることがこんなに人を傷付けるなんて。

 滴り落ちた精液が「伝統的家族観」の文字を象っていた。


 その後、梅田議員は無事に三人の子供を産み、そこからまあいろいろあって女性が、ひいては一般国民が子供を産み育てることの苦労にようやく気付き心を入れ替えた。梅田議員は国民のために粉骨砕身働き、矢部を引きずり下ろして総理となり、日本は経済復興、子育て推進に世界一優しい国になってみんなハッピーになったのだった。

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