5.読み専が見る『目次』


 さて、二つの関門をくぐり抜け、小説のトップページにたどり着いたとしましょう。そこにある第三の関門。

 これ、意外と見過ごされがちだと思うポイントです。


 それは「目次」


 ……つまり、章分け、章タイトル、そして、エピソードタイトルですね。

 

 目次を一瞥して、ただの数字の羅列だと一挙に読む気が失せます。

 

 たとえて言うと、見た目おしゃれで、お!っと思ったカフェに入って、お品書きに番号しか載っていない(?)みたいな。

 いや何か違うけど……。でも、ナンジャコラーとか、えーっとどうしよう(?)という戸惑いの感情がなぜか沸き起こります。

 もしくは、商店街にはいったら看板の無い店がならんでた、とか?

 喜び勇んで入ったはいいが、その先に情報が無い不安・居心地の悪さ、という感じですね。

 まあ、平気な人もいるでしょうけど。あなたはどうでしょう?

 

 

 思うに、目次のエピソード一覧もその小説の重要な要素なのです。あらすじの拡張版・箇条書き版と言ってもいいかもしれません。

 エピソードタイトルから推測する話の流れや起伏、章分けで見る大体の展開、小説のボリューム。

 小説の文字数と合わせて、大体の読む量・読む時間を推測するのです。

 このとき、エピソードに「第○話」のように連番があると便利です。章を超えて通算がいいですね。何話目を読んでいるか、全部で何話あるか一目瞭然だからです。自分の読書の進捗もわかりやすい。


 連載中なら、毎回エピソードのタイトルが読者の注意を惹きつける手段なので大事ですよ! 更新通知でエピソードタイトルが番号だけとか素っ気ないとかじゃ、ちょっと……。


 さらに、エピソードタイトルで特定のエピソードの内容の位置を覚えたりもします。

 例えば、読んでて忘れてしまっている内容に気づく場合があります。またはあのときの伏線か!とか気づいたとき。

 そんなとき、確かあれはあのエピソードあたりだったよな~と目次を見ながら振り返って、確認に読みに行くことが多々あります。

 さて、その時に番号だけだと、それが不可能です。

 そうなると、もういいやと読むのを止めるか、忘れていてもそれ以降適当に読み始めるかの、どちらかになります。

 そうなると、その小説への情熱は半減。面白さも伝わってこなくなります。

 そして、内容忘れて確認できずに読んでも、早々訳分からなくなって読むのを止めますね。



 

 ちなみに、この点、明示的なブックマークのできないカクヨムはすごく不便です。自動的に最後に読んだ場所を覚えてくれるのはいいのですが、確認のために過去エピソードに移動してそのまま抜けると、本当の最後に読んだ場所が分からなくなるのです。

 まあ、そのためにも、まるでブレッド・クラムのごとくハートを付けておくという手もありますが。それでも、最後のハートの位置を探すのは大変ですよね。

 それに私はそんな使い方はしたくない。応援ハートはあくまで応援の気持ちを表すものですからね。

 

 

 創作論を読むと、個々のエピソード自体にも起承転結が大事であり、ミニ小説として書け、とあると思います。つまりは、エピソードタイトルは、そのミニ小説の立派な「タイトル」なのです。

 なので、私が述べたタイトルの重要性が、エピソードタイトルににも当てはまるのです。

 エピソードタイトルも磨いて光らせてください。

 センスあるエピソードタイトルはそれだけで続きを読む気を引き起こします。

 エピソードタイトルにも気を配る繊細さ。そういう些細なところに読者は惚れるのです。

 クスッと思わせる、字数をそろえる、同じパターンで始める・終わる、セリフになっている、等など。工夫しましょう!


 ということで、エピソードタイトルにも愛情を注いであげてくださいね!


 

 私が好きな目次の例。リンク先に行ってぜひ目次を見てみてください。


「木星で春を待つ鬼」作者 箱守みずき

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054887587097

 箱守みずき様の作品は、どの作品のタイトルもエピソードタイトルもすごくうまいんですよね。単なる単語の羅列で無く、単語以上文章以下。絶妙な言葉が選ばれてると思うんです。

 

「神滅ぼしのスーサイダー」作者 詩一@シーチ

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054888577527

 詩一様はいろいろ工夫が見えて、お!っと思うところがいいんですよね。

 

「はじめてのゾンビ生活」作者 不破有紀

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054889007500

 なぜだか一見ランダムな「年」の数字に惹かれます。でもそこに意味があるんです。それが分かるとエピソード毎に次は何年かなーと楽しみになるんですよね。

 

「わたしの知らない、先輩の100コのこと」作者 兎谷あおい

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054884047197

 作品タイトル、エピソードタイトル、ともにグッときます。知りたい!とおもわせるんですよね。


 ラブコメの作品はセリフをエピソードタイトルにしているものが多いので、慣れてしまった感がありますが、効果的ではあると思います。




 最後に、書き手として、たまには目次に目を通しましょう。

 全体に起伏はありますか?

 定期的に興味を引き起こすエピソードは入っていますか?

 プロットの段階で、章分けや全体の構造、エピソードの配置や名称は大体考えてあるでしょう。その部分にも「校正」が必要であることを忘れないようにしましょう。


 ひとつテクニックを紹介。

 もしアウトライン機能のあるエディタを使って小説を書いている場合は、エピソードがの場合に記号(例えば★)などをエピタイトルに付けて見てください。

 どれだけうまくその★がちりばめられているか確認しましょう。

 ★が無いエピソードが続くと言うことは、だらだらと話が続く、つまり、読者が離れる可能性が高いと言うことです。

 毎回★? そりゃあ素晴らしい。

(あくまでチェック用なので公開時にはその記号は削除してね。残してもいいけど)

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