桜の異能妖

@hinashak

第1話 容姿の違う双子

「つまらない」何処かに感情を置き忘れてきてしまったような少女は呟き、刀を振っている。皆、少女の名を叫びながら銃を乱射しているが

「そんなもの私には効かない、弱い奴らばかり来ても楽しくない」と呟き、少女が手を振りかざせば相手は散りゆく桜の花弁のように血を散らしながら死んで逝く。瞬く間に少女の足元には今まで銃を乱射していた者達の肉片と化したものが転がっていた。

「桜華や、そのような汚れてる所におらずこちらに来ぃや」品のある優しげな声がした方へ顔を向けると そこには一人の女性がいた、「姐様、、、」桜華という名の少女は頷き姐様と呼んだ女性の元へ向かっていく、彼女の名は紅葉、桜華と同じ能力者だ。「桜華は愛いのぅ、ほれ大層つまらなかったのであろう?こういう時は帰るのが一番じゃ最近桜華が気に入っている刺繍でもやるかのぅ?」紅葉は桜華を優しく抱きしめながら言った。


自宅へ着き桜華が刺繍をしていると紅葉はある双子の話を始めた。「吾がまだ桜華ぐらいの齡の頃今日みたく人を切り刻んでいた日のことであった、突然空から容姿の異なる双子が舞い降りてきたのを覚えている、一人は光のような白髪に金色の瞳を持ち、もう一人は闇のような黒髪に血のような紅色の瞳を持っていた、、、当時、殺戮にしか興味を惹かれなかった吾でさえ、その美しさに目を奪われたのぅ、あの双子は大層きれいであった、、、、その後の記憶はないのだけれど幻のようだった、すまぬな桜華やその双子がどのような能力を持っているかもあまりわからぬ、しかも残念ながら幻ではなくまだ生きておるのは間違いないのだけれど

どうして吾は双子だと思ったのだろうか、、、

大層顔つきが似ていたのであろうな」紅葉はそう言って微笑んだ




数十分後の事、

「桜華はいつから笑わなくなってしまったのであろうか昔はあんなに笑っていたのに」

紅葉はそう呟き、小さく息を吐き出した。

隣と見ると桜華が小さく首をかしげている、紅葉は聞こえていたのではないかと一瞬ヒヤリとしたが桜華の「もう出来たの?」と言う一言で安堵の息をついた、どうやら桜華は紅葉が刺繍対決開始早々に刺繍を作り上げてしまったと勘違いしていたらしい、紅葉は今、桜華と刺繍対決をしていることを思い出し「ああ、まだ出来ていないから心配するな」と微笑みながら言うと桜華は「そう」とまた刺繍に没中した。しばらくして、ようやく紅葉が刺繍に没中し始めた頃珍しく桜華から話始めた「姐様が見た双子の容姿をもう少し知りたい、さっきの姐様の話を聞いていて興味を持った」どうやら桜華は先ほど紅葉が話した双子の話がまだ気になっていたようだ、紅葉は少し驚いたように目を見開いたがすぐに微笑み「おや、桜華が興味を持つなんて珍しいのぅ美しいものは誰しもが興味を惹かれると言うことか」と少し嬉しそうに言った。ただ桜華は「まだ見てないから私にとって美しいかはわからない」と一言、今まで飛んでくることの無かった容赦ない正論に紅葉は一瞬戸惑いの表情を見せたがすぐに笑って

「それもそうじゃ、その双子はな吾らと同じように刀を持っていた、黒と白色じゃ、まぁ次見たときには無くなってたから能力の一つだろうと思うけど、、、、具体的には、わからない、詳しくと言ってもこのくらいしか覚えておらぬ」

そう紅葉が言った時だった、窓を突き破り氷柱が飛んできた。桜華も突然の事に能力の発動が一瞬遅れ身体に突き刺さると思い覚悟したが、次の瞬間には紅葉の『夜叉』出現し氷柱をすべて切り落としていた。「油断している、とでも思ったか童。あんなに物音を出しといて奇襲など笑わせてくれる。」紅葉は奇襲を仕掛けてきた青年に冷ややかな目で睨んでいる「ねぇ、殺して良い?」と桜華が能力を発動しようとしたときだった「待て、桜華や一思いに殺してしまっては、さぞかしつまらなかろうこの童には尻尾巻いて逃げてもらう」と、桜華を止めた「何で?」、「楽しみは後に取っといておく物じゃ次の機会に殺せば良い」、桜華は納得出来ないとでも言うような顔で紅葉を見つめていた。青年は悔しそうな顔をして吹雪とともに消えていき、桜華は表情には出ていないもの否の気を出していた、何か不満があるのだろうか

《やはり桜華は殺戮にしか興味を持たぬか、双子の話には興味を持ったみたいだけどどうすればいいのかのぅ?》と紅葉は考えていた。

桜華は自室に戻り紅葉と同じように考え事をしていた《どうしたらあの人を見つけだせるの?ちゃんと殺さないと気がすまない》あの人とは先程の青年だろう、桜華はまだ、諦めていなかったのだ。また会えることを願い布団に入ろうとした時、

部屋の明かりが停電したかのように消え、見覚えのある氷柱が飛んできた。桜華も《さっきのようにはいかない》と思い咄嗟にライターに火をつけ、見える氷柱すべてを溶かした、そこに見えたのは先程の青年と「姐様が話してくれた双子、、、」だった容姿は紅葉が話していたのと全く同じだった。

「あら、眠ろうとしていたお姫様?名前は何と言うの?」と光のような少女が聞いてきた

紅葉に「敵に名前を教えるな」と言われていた桜華は「名乗るほどの名はない」と一言、それを聞いた闇のような少女は予想外の返答だったのか笑いながら「お姫様は名前を教えてくれないみたいだけどどうする?私、とても自己紹介したいのだけれど、だってこんなに可愛いお姫様が目の前にいるんだもの名前を覚えてもらいたいじゃない」と言った、光のような少女は頷き、青年からするように目で訴えた。

青年はにこりと微笑むと「やぁ、また会ったね僕の名前は貫羅、君さっき向こうの部屋で僕を殺そうとしてたねそれに君さ、もしかして本来の火が無いと能力使えないの?」

と煽るように言った、桜華は貫羅の煽りに「消えろ」とぼやいた。この様子を見ていた光のような少女と闇のような少女は「貫羅が失礼な事を言ってごめんなさい私は筴李、能力は光明、宜しくね」、「本当にごめんなさい私は殺季、能力は常闇、宜しくね」と自己紹介しながら桜華に謝罪を述べた。

桜華は「いいからさっさと消え失せろ」と今まで桜華の口からは聞いたことのない言葉が飛び出していた、「闇織やそこまで怒らなくて良いではないか愛い顔が台無しじゃ」、と焼け焦げた扉から紅葉が入ってきた、「ところでまた会ったのぅ双子と童今度は吾ではなく闇織が殺しにかかるであろうな、光と闇花やお前の名は筴李と殺李と言うのか覚えておこう」と紅葉は微笑みながら言い


桜華と貫羅は怪しげな笑顔で言った


「「次会ったときにはお前(貴様)の命は尽きているだろう」」

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