お話の時間♪ 朗読『うらひと太郎』2

   

   おはなし時間じかん♪ 朗読ろうどく『うらひと太郎たろう』2   乙音おとねメイ



「あなたが

こまったときに、

そのはこをおけなさい」


  

 太郎たろう海岸かいがん砂浜すなはまましました。


ゆめていたのだろうか。あのあおいカメはどこにったのか…」


 太郎たろうたすけた、あのきれいなあおいカメや、とおるような亜麻色あまいろかみうつくしいひとたち、その姿すがたはどこにもありません。


 しかし、自分じぶんむねに、キラキラかがやうつくしいはこがしっかりとかかまれていることにがつきました。


こまったときに、はこけなさい…たしか、そうってた」


 太郎たろういまがそのときのようながしてきました。


 自分じぶん前世ぜんせいった玉手箱たまてばこは「ぜったいけてはいけないはこ」だったのです。でもその「けるな」の言葉ことばも、きんじられたはこけてしまう行為こういも、他者たしゃ支配しはいするための実験装置じっけんそうちとしてすべて、てられていたことだったのです。


 かみもとめて、かみもとかえりたがった、かなしい子供こどもたち、子供こどもたちからちからうばって、そのあつめたちから総力そうりょくで、自分じぶんおやであるかみもとちかづきたかったのです。

 みんなおなかみさまの子供こどもでありながら、すえのようないで駄々だだをこねている支配しはいするものたち、太郎たろうはそうしたひとたちをにくむことができませんでした。


 けれど、支配しはいされて、きずつきかなしみのうちにらす、おなかみさまの子供こども存在そんざいもあります。

 太郎たろうはこのことをどうかんがえたらいいのだろう、と途方とほうにくれてしまいました。


「あなたがこまったとき、そのはこをおけなさい…」


 ははあいかんじさせるようなそんなやさしいこえが、太郎たろうみみとどいたようながしました。


 太郎たろうこえうながされるようにして、むねかかえた『あい玉手箱たまてばこ』のふたをけてみました。


 そのとたん、やわらかいかぜともにスイートピーのようなはなかおりがあたり一面いちめんおおくしました。太郎たろうはめまいをかんじ、自分じぶんがどこにいるのかわすれそうになりました。でもそれも一瞬いっしゅんのことでした。


 『あい玉手箱たまてばこ』のなかからてきたのは、全知全能ぜんちぜんのう創造神そうぞうしん全宇宙ぜんうちゅうおおうほどの、強力きょうりょくあいのスピリットで、そのとき「ノスト」や「やし」のちから全宇宙ぜんうちゅうひろがっていったのです。


 こうして、地球上ちきゅうじょうすべての動植物どうしょくぶつかみさまの子供こどもであるすべての人間にんげんは、かみあいによって強力きょうりょくやされていくことになりました。いまでは、自分じぶんかみさまの子供こどもであったことに、うたがいの余地よちをはさむひとはどこにもおりません。過去かこさびしがりやの駄々だだは、ほかのみんなと同様どうように、愛娘まなむすめ息子むすこ、の立場たちばおもいっきり享受きょうじゅしています。


 また、解放かいほうされたノストによって、かみさまと自分じぶんがいつでもコンタクトができるため、あらゆる問題もんだい解決かいけつでき、地球ちきゅうはもとより全宇宙ぜんうちゅう平和へいわになりました。



                ***



 その太郎たろうあいする家族かぞくがふたりと二匹にひきえ、毎日まいにちがとてもにぎやかになりました。

 また、水族館すいぞくかん館長かんちょうになり、シースルーの海中建物かいちゅうたてもので、人間にんげんさかな観察かんさつし、ぎゃくさかな人間にんげん観察かんさつするという、双方そうほうにとって「やしあい」のある、たのしい日々ひびおくっているということです。

 めでたしめでたし。





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作者より

お話の時間♪ 朗読『うらひと太郎』は、2013年2月21日に、作者乙音メイが「木の実コルリ」というペンネームで書き下ろした作品です。

 このハッピーな物語は、音読することで目から、耳からアファメーション効果が得られるため「お話の時間・朗読 うらひと太郎」というタイトルにしました。

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