第9話 その後のロシア・プーチン

2000年からエリツィンのあとを継いだプーチンは、世界的な原油高という好条件にも恵まれ、混乱した経済をなんとか立て直し、成長路線に乗せます。エリツィン時代はエリツィンと側近および支持基盤の新興財閥(オリガルヒ)の時代と言われたのですが、これと厳しく対決し、脱税を取り締まり国家財政に秩序を与えました。こうしてプーチンは国民の支持を得たのです。


『強いロシア』を掲げたプーチンは、エリツィンの時代に軍縮を行い削減した軍備予算を復活させ軍備を増強します。地方の知事を直接選挙から大統領による任命制に改め、より一層の中央集権化を進めます。このような政治手法が強権的・独裁的だとして欧米諸国から強い非難を浴びるのですが、長い混乱から秩序を回復したことはロシア国民からは強い支持を受けて権力基盤を万全なものにしたのです。


軍備の増強は、ソ連から解放された東欧諸国が安全保障を求めNATOに加盟したことにもよるものでもありました。冷戦終結の条件としてゴルバチョフと西側との間では東欧諸国がNATOに加盟させないことが話し合われていたのです。

当然プーチンはこれに反対するのですが、アメリカはロシアをG8のメンバーとして待遇したり、WTOの加盟によって妥協を図ります。NATOをめぐる綱引きは今のウクライナの問題として残っているのです。冷戦は終わらず、新冷戦といわれる尻尾は依然として残っているのです。


 ロシアの大統領は連続3選が憲法により禁止されているので、2期目を終えた後の去就が注目されたのですが、後継として第一副首相のメドヴェージェフを指名し、自らは首相として政界に残り、メドヴェージェフ大統領のあとは、また大統領に復帰し現在に至っているのです。ロシアはどうしても強権的な指導者を得ないと治まらないのだろうかと思ってしまうのです。

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戦争と革命の時代・ソ連の崩壊 北風 嵐 @masaru2355

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