解題

 「なんか、いいところで第一章が終わってしまったなり。」

 ほんとは対徳川戦までを書きたかったようだが、思ったよりも長くなってしまったんだ。十万字を越えてしまったからな。

 「作者がまた力尽きたみたいなりね。」

 少しお休みをいただいて、また書き出すだろう。

 「第二章のストーリーは出来てるなりか。」

 おおまかには組みあがってるらしいが、ぼんやりしたところもあるみたいだ。

 

 それでは戸部典子君、序章と第一章の解題をやろう。

 「解題というよりは元ネタ探しなりね。」


 まず、序章第二話の最後の部分は「ダンバイン」だな。

 「『ミ・フェラリオの語るバイストンウェルの物語を伝えよう』なりね。」

 よく知ってるな。

 「富野さんの作品は全部見てるなり。オタクの教養なりよ。」

 そういえばデス・ドライブも出てきたな。

 「イデオンなりね。」


 では、一章第三話のタイトル「高い城の女」は分かるか?

 「ディックなりよ。フィリップ・K・ディックの『高い城の男』なり。」

 ディックの「高い城の男」は第二次大戦にナチスと日本が勝った歴史を舞台にしているから、歴史改変ものの元祖みたいな小説だ。

 「逆に先生に質問するなり。『けもの財団』の元ネタが分かるなりか?」

 フレンズさんのアレか?

 「違うなり。『ガンダム・ユニコーン』のビスト財団なりよ。あれはビースト財団なり。『可能性のけもの』ってセリフがちゃんとあるなり。」

 なるほど、作者お得意のガンダムか? そういえば、ムガンダ王国というのも出てきたな。

 「あれはいちばん安易なネーミングなり。」

 作者はウガンダ共和国から三つ目の角を曲がったところにムガンダ王国があるといっていたぞ。

 「それも『アンドロメダ星雲を曲がったところに悪い宇宙人たちの住むアパートがある』という吾妻ひでお先生の漫画からきてるなりよ。」

 良くも悪くも、作者の昭和オタク趣味というわけか。

 「昭和だけじゃないなり。映画『ブラック・パンサー』の影響もあるなりよ。」

 あの映画は、作者が大好きみたいだからな。


 「さすがに、あたしの歳では『流星号』は分からなかったなり。」

 おまえ「スーパー・ジェッター」を知らないのか?

 「昭和初期の事は知らないなり。」

 昭和初期ではない、昭和四十年代の白黒アニメだ。

 「若い人には分からないなり。」

 若い人に分からないと言えば、サンダーバードのネタもあったな。

 「国際救助隊なりね。」

 ジェット・モゲラーもそうだぞ。

 「サンダーバードのジェットモグラとゴジラに出てきたモゲラの合体なりね。」

 なんだか幼稚なネタばかりだな。


 「文学的なやつもあるなりよ。一章十七話のタイトルは島田雅彦先生の小説からとってるなり。」

 島田雅彦先生の「天国が降って来る」だな。

 「あれは面白い小説だったなり。島田先生のパロディーにニヤニヤしながら読んだなり。」

 そうだな、あの小説に春樹という登場人物が出てきたところで、私も噴き出してしまった。

 「村上春樹先生のパロディーなりね。」

 村上春樹先生と言えば、システムとファクトリーというのもそうだな。

 「『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』なりね。」

 あれも面白い小説だった。純文学というよりSFのようだった。

 「村上先生にはカート・ヴォネガットの影響がところどころあるうなりね。」

 続編のサブタイトル「北のまほろば」も司馬遼太郎先生の「街道をゆく」から頂いたものだ。

 「第一章のタイトル「北の埋み火なり」は高橋克彦先生の「炎立つ」の第一巻なりね。」

 それから坂口安吾先生の引用が出てくるな。

 「特攻隊から闇屋になるというストーリー自体が、『堕落論』そのままなりね。」

 これは物語のテーマに関わることでもあるんだ。


 「テーマに関わるといえば序章のタイトルもそうなりよ。」

 タイム・アフター・タイムだな。

 「シンディー・ローパーの名曲なりよ。タイム・アフター・タイムは『何度でも、何度でも』っていう意味なり。」

 それだけじゃない。同名の映画もあるんだ。タイムマシンの映画で、主人公はなんとH・G・ウエルズだ。

 「SF作家のH・G・ウエルズが主人公なりか?」

 そう、「宇宙戦争」を書いたウェルズだ。

 「一九七九年の映画なりね。ファースト・ガンダムと同じ年なり。」

 作者が子どもの頃や若い頃に観たり聞いたりしたものは染みついているからな。


 「こうやって見てみると、創作っていうのも様々な影響の上になりたっているなりね。」

 そうだな。完全なオリジナルなんてものは存在しない。全ては歴史が作り出した産物だ。

 「結局、先生の話はそこへ戻るなりね。」

 そして第二章も、いろんなものに影響されながら書かれることになる。

 「とにかく、早く書くように作者を急がせるなり。」

 あまり急かせると、とんでもないことになるぞ。

 「とんでもないことなりか?」

 作者が書くのを嫌になったら、イデが発動するそうだ。

 「みんな死んで物語が終わるのか?」

 作者の脅しだよ。「そのとき、イデが発動した」というナレーションで「完」という文字が出てきて終わるんだ。

 「気を付けて作者に交渉しないとイデが発動してしまうなりね。」 

 だから気長に待て。かなり長い物語になりそうだから、作者もじっくり書きたいらしい。

 「あたしも少し休んで、再開を待つなり。」

 読者の皆様にはしばらくお待ち願います。

 「また始まった時には、よろしくなのだ。」

 では、またお会いしましょう。

 「ブクマはそのままなりよ!」








 




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続・歴史改変戦記「北のまほろば」 高木一優 @itiyu71

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