第2話自己紹介

「こんにちは、お嬢さん」

その短い黒髪をなびかせて青い目で私に問いかけてきたこの少年は一体…


「僕の後ろに…早くしないとあいつが来る。」

ボソボソっと、ただ力強く私に言った。

「あっありがと…」

私はすぐに立ち上がってこの少年の後ろに走った。

「あれは一体…なんなの?」

「あれはあなた方人間とは別の生命です。魔人族。僕とあなた方の敵です。」


全くもってわからない。小説にも出てくるようなフレーズを使うとただ平凡極まりない日常に突如魔人だの敵だの…ただ確かなことはあれは私たちとは違う。ということだけは理解できる。そしてこの少年も…


「あっあなたは一体…?」

「僕…?僕はー!?」


突如爆発音がして魔人?が私たちの元へ迫ってくる。


「くそっ!くそっ!龍人族か!邪魔しやがって!ちょうどいい…ぶち殺してやる…!」


頭のツノが片方折れてそこから出血している。かなりダメージを負って興奮してる状態だが、その魔人の姿を冷静に見ている少年が手をかざした


「僕はただ困ってる子を助けたいだけなんですけど」


すると手から炎がまた溢れ出てきた。


「ファースト:バースト炎獄弾」


すぐさま手から大きい火の玉が魔人に向かって放たれた


「聞くかよバカが!!」


すると瞬時に左に避けてすかさず魔人はこちらへ迫ってくる。そして右足をあげて少年に振りかざそうとした


「死ねっ!」

「残念ですがあなたの負けは絶対です。バーストリバース」

「なっなんだとっ!」

すぐにその瞬間放たれた火の玉が瞬時に戻り

魔人の後頭部へ大きな音を立てて直撃した。


「がはああああ!!」


直後大きく吹き飛びその場に倒れこんだ。少年はふーと息を吐き私に近づいた


「大丈夫ですか?もう大丈夫。」

「あっありがとう…」


ありえない光景を目の当たりにして腰が抜けてた私にスッと手を差し伸べてくれた。


「へへっ信じられねえ。もう少し暴れたかったぜ…」

「もう十分暴れたでしょう。さよなら」


魔人は倒れこんでいて息も荒く言葉を放った。そしてスーッと静かに消滅していった。


「本当に何が何だか…」

「わからないですよね。ただ現実なんです。この世はいつも自分にとって不条理なことが起きやすいんですよね」


少年は服についた泥を払いながら寂しそうにつぶやく。

「あっすいません。自己紹介中でしたね」


と私に少し微笑みながら呟く。


「僕はルカビィ。龍人族です」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ドラバト @rukabi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る