ドラバト
@rukabi
第1話突如変わる世界
世界とは不変だと思って生きてきた。
私の世界はただ何不自由なく生きていけばいい。そう。それでいい。と思って生きてきた。何か突然訪れる幸運だとか、変化だとか何もなくてもいいと思ってた。ただ変わってしまった。一人の少年との出会いが、その私の至って普通極まりない考え方や生き方さえも全て変えてしまった。それが本当に幸せかどうかはわからないけれどただ一つ言えること。それは…
誰かを愛し、誰かのために何かと戦う事。それは素晴らしいことなんだということを。
それを彼らから教わった。
高校一年の春。校庭の長くて急な坂道を歩くのが億劫だが、さすがに一ヶ月歩くとそれも悪くないと思えるようになっていた。
「おーい!ナギー!!」
私の後ろから大きな声で呼んできたのは私の幼い頃からの親友のヨミだった。ポニーテールの茶色い髪を揺らしながらそのチワワみたいな愛くるしい目と顔で私に手を振りながら走ってきた。
「相変わらずかわいいポニーテールだねえ!こうしてやる!」
とヨミは私の髪を思い切りぐしゃぐしゃにしてきた。
「ちょっ!毎朝のルーティンなわけ!?この髪好き女子め!」
「えへへ〜だってナギのポニーテールとこの身長の小ささは破壊力あるよー!男子が放っておかないわけだ!」
こうやって毎朝いつも会うたび私の身長のコンプレックスを指摘してくる。だけどヨミはずっと前からの幼馴染なわけだから良しとしよう
「それよりも昨日聞いた?まただって!」
突拍子もなく突然ヨミが興奮した感じで言った。
「またあったらしいね!謎の事故!」
「あー…あのトラックとかお店とかが爆発した?」
「そうそう!巷ではなにかやばい怪物みたいなのを見たって話!すごくない!?」
「どうせ噂だよー。単なる事故だよ」
「えー絶対違うと思うんだけどなー」
この会話は結構私の周りどころかいろいろ世間を賑わせている。今至る所で爆発や人が怪我をしたりと頻繁に起こっている。なんだかモンスターの仕業とか実際それらしきものを見たと言われているけど…そんなファンタジーじみた話はないんだろうと思っているので自分としては冷静でいた。
ところはそれは現実になってしまう。
「じゃあねーナギー!!またねー!そのツインテールを明日もまたいの一番に触りにいくから!」
「あはは…それはやめて…」
夕方帰宅途中のいつもの橋でヨミ別れた。せっかく毎朝セットしてるのにヨミのせいで台無しになってしまう。
「ふー…疲れたあ…早く帰ってご飯食べて寝よーと。」
「すみません!」
と後ろから声をかけられた。背の高い細身の若い男性がこちらに声をかけてきた。急なことだったので持ってたアイスコーヒーが落ちそうになった。
「この辺りに鏡山ってあります?」
鏡山とはちょうどこの橋から歩いて5分のところにある小さな山だ。昔お母さんと一緒にピクニックに行ったこともあるが今は大きな地震が3年前にあってから人も通れないくらい道が崩れてしまったところにある。
何故そんなところのことを…
「は、はい…」
「ちょうどよかった!なにぶんここら辺は初めてなもので!もしよかったら案内できませんか?」
だが私はふと気づいてしまった。理由はわからない。ただこの人はやばいと感じた。
「すみません…!!」
と言い突如私は走り出した。体がそうした。いやそうなった。何故かわからない。だけどこの人は自分にとってまずいものと感じた。すぐさま家の方向に走った
「はぁ!はぁ!」
なのに何故か着かないどころか走っても走っても同じ景色ばかりで異変をすぐに感じた。自分がたどり着いたその先は鏡山だった。
「はぁ…!はぁ…!なんで!?」
辺りを見渡すと何故か私は雑木林囲まれていた。目の前に先ほどの男が立っていた。
ニヤッと笑い男は静かにつぶやく
「せっかくイキのいい人間なのにもったいない。逃げないようにしっかりしないと…」
男は静かにそういいまるで体操選手のクラウチングスタートのように態勢をとった。
次の瞬間、一瞬で私に近づいて首を掴まれて倒された
「かっは…!」
苦しい。すごい力でつかんできた。すると男の頭に猛獣のようにツノが生え顔も獣のような顔をしていた。人間じゃない。何か例えようのない姿。そう魔獣のような顔つきになっていた。
死の間際に走馬灯が…みたいな話はよく聞くけどそんな余裕もなく私はただ恐怖した。
死に…
魔獣のような顔をした男はぐっと私の首を握ったままつぶやく
「知ってるか…?最近の世間を賑わせてる事件は全て俺たちだ。俺たちはこれから創り上げるんだ。魔人族の世界をな」
「っ…!はぁ…!まじん、ぞく?」
「ただの人間など邪魔だ。早く…」
「死ね…」
男はさらに手の力を強めてきた。
あぁ…もうだめだ…
お母さん…ごめんなさい…
「があああああああっ!!」
次の瞬間
突如男が爆発して吹き飛ばされた。
「ゲホッ!ゲホッ!…なに?なんなの?」
私はようやく息ができるようになりむせた。すると目の前には手を前に突き出す少年がいた。
「ファースト:バースト 炎獄丸」
それはまるで世界が一変したのを告げるかのように
「だめじゃないですか…女の子にまたがってそんなことしたら…」
威風堂々とした姿で現れた。そう私の世界を変えた人。
「それはさておきえっと…こんにちは。お嬢さん。」
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