第4話 さびしい。

 実は、第一話には続きがあって。

 本当に泣きたくなるような経験だったので、内緒にしていたことがあって。


 かなしいので、一生黙っていようと思っていたのだが、若干、感情で書く。


 文具屋のおじいさんに、お見舞いを持って行ったのだ。

 三日、連続して。


『あー、おじいさん、果物好きかな?? おミカンどうかな?』


 と思いましたので、母の日に売れ残ったマンゴーをプレゼントしました。

(んっ?)

 次の日、やっぱりおミカンだろう、と思って持って行きました。

 そのまた次の日、ビワなんかどうだろうか、

 と思いつつ、なりゆきでお漬物をプレゼントしました。

(んんっ??)


 あちこち歩き回って、少々熱中症の気配がしていた。

 考えるのも、ひたすら、


『おじいさんは、おじいさんは……あれが好きかな。これが好きかな。お口に合うかな。塩分は控えめかな。お見舞いは滅多に口にしないものがいいかな……』


 ということ。

 そして、持っていったらば、おじいさんが……。


 ほっそりした姿で、うつむきながら、


「そんなに、持ってきてくれなくて、いいんだよ……?」


 って、まるで迷子の子犬に語りかけるように、言った。


 悲しくて。


 無性に悲しくて。思い出したら涙が止まらない。



 だけど、それだけのお話。



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